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健保ニュース 2021年8月合併号

令和元年度の国保財政状況
実質収支 ▲936億円、一転して赤字
保険料収入が6年連続マイナス

厚生労働省は7月16日、「令和元年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況」を公表した。

決算等補てんを目的とする一般会計繰入金などを除いた実質収支が、前年度の黒字から一転して936億円(前年度比1150億円減)の赤字となった。

国保の財政運営が都道府県単位化されて、初めての決算となった前年度の実質収支は215億円の黒字を計上したが、元年度で2年ぶりにマイナスとなった。

国保の被保険者数は減少傾向が続き、元年度末は2660万人で前年度から92万人減少した。

元年度決算は、市町村と都道府県それぞれの国保特別会計を合算した額で、医療分と介護分を合わせた単年度の収入額は、合計24兆436億円(前年度比1.2%減)。

このうち保険料・税収入は、被保険者数の減少が影響して前年度比2.8%減の2兆5966億円で、平成26年度から6年連続のマイナスとなった。1人当たり保険料調定額は、9万6829円(同1.5%増)。現年度分の保険料収納率は、0.07ポイント上昇し92.92%だった。介護分を除く医療給付分に相当する保険料・税収入は、2兆3888億円となっている。

収入の主要を占める前期高齢者交付金は、同3.9%減の3兆4988億円を計上した。経過措置として存続している退職者医療制度における療養給付費等交付金は、退職被保険者等の減少により同90.0%減の62億円となった。国庫支出金は同0.1%増の3兆4566億円、都道府県支出金は同0.3%増の1兆1195億円。

一方、単年度支出額は合計24兆741億円(同0.6%減)を計上した。このうち、保険給付費は8兆7353億円と同0.7%減で、これは被保険者数の減少が主な要因。1人当たり保険給付費は32万316円で同3.4%増加した。

後期高齢者支援金は同0.4%減の1兆5866億円、介護納付金は同2.5%減の5611億円といずれも減少した。

収支総額から基金繰入金や繰越金、基金積立金や前年度繰上充用金などを除いた単年度収支差引額は、同123.7%減の304億円の赤字を計上。ここから国庫支出金を精算し、決算補てんなどのための法定外一般会計繰入金を除いた実質収支は、前年度の215億円の黒字から1150億円悪化し、936億円の赤字となる。

国保には、都道府県単位化と合わせて脆弱な財政基盤を改善するための公費を30年度から毎年度3400億円投入している。これが収支改善に寄与して常態化していた赤字が30年度は黒字に転換したが、引き続く保険料収入の低下や高齢化などの影響により元年度で赤字に転落し、今後の動向が注目される。

法定外一般会計繰入
8.3%減の1751億円

元年度市町村国保の収入のうち、法定外の一般会計繰入金は1751億円で同8.3%、159億円減少した。内訳は、決算補てん等目的分が同161億円減の1096億円、それ以外の目的分は655億円となっている。

計画的に削減・解消すべき対象とされる決算補てん等目的分 の内容は、▽保険料の負担緩和997億円(同48億円減)▽累積赤字補てん43億円(同14億円減)▽保険料の収納不足32億円(同17億円減)─などとなっている。

こども医療費などへの独自助成や災害などによる保険料減免など削減・解消の対象といえない決算補てん等目的以外では、地方単独事業の医療給付費波及増に246億円、保健事業に186億円、保険料減免に80億円などを充てた。

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