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健保ニュース 2021年8月合併号

中医協が個別事項の議論を開始
医薬品の保険給付範囲など論点
幸野理事 さらなる適正化へ見直し必須

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は7月21日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、「個別事項」の▽医薬品の適切な使用の推進▽働き方改革の推進▽歯科用貴金属材料の基準材料価格改定▽不妊治療の保険適用─をテーマに議論を開始した。「医薬品の適切な使用の推進」では、これまでの診療報酬上の措置や政府の「骨太方針2021」を踏まえた今後の対応として、「医薬品の保険給付範囲の見直し」などが論点に浮上。健保連の幸野庄司理事は、さらなる適正化へOTC類似薬の保険給付範囲は次期改定で見直す必要があると強調した。一方、診療側の委員は、医療保険の対象外は治療目的でない場合に限定すべきと主張し、両側の意見は早くも二分した格好となった。

厚生労働省は7月21日の中医協総会に、令和4年度の次期診療報酬改定に向けた「個別事項」のテーマとして、「医薬品の適切な使用の推進」にかかる課題と論点を提示した。

医薬品の使用状況をみると、薬剤費は平成20年度の7.4兆円から29年度は9.5兆円に上昇し、国民医療費に対する薬剤費の比率は22%に達する。薬剤費全体の約60%は薬局で調剤される医薬品によるものとなっている。

医薬品の適切な使用にかかる診療報酬上の対応として、▽ビタミン剤の単なる栄養補給目的の投与は医療保険の対象外(24年度改定)▽治療目的でない場合のうがい薬だけの処方は医療保険の対象外(26同)▽湿布薬の適正給付(28同)▽治療目的でない場合の保湿剤の処方は保険給付の対象外(30同)─が医療費適正化の観点から図られてきた。

政府が6月18日に閣議決定した「骨太方針2021」においても、「OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲について引き続き見直しを図る」と明記された。

厚労省は、医薬品の適切な使用の推進について、これまでの診療報酬上の措置や「骨太方針2021」などを踏まえた今後の対応を論点に位置づけた。

議論では、健保連の幸野庄司理事が、「医薬品の保険給付範囲をどこまで対象とするかは非常に重要な課題である」との認識を示したうえで、「保険給付範囲はさらに適正化していく必要がある」と指摘。

現在、保険収載されているスイッチOTC医薬品がある医療用医薬品については、「次期診療報酬改定で是非、見直すべき」と強く訴えた。

これに対し、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「保険給付範囲の見直しについて日医は、従来から医療上必要な医薬品は保険給付対象とすべきと考えている」と言及。

仮に、財政の厳しさを理由に重篤疾患のみを保険給付の対象とする場合、「経済的弱者に適切な医療が提供されないことが想定され、国民皆保険は形骸化する」と主張し、「医療保険の対象外は治療目的でない場合に限定する、従来の考えは死守すべき」と主張した。

フォーミュラリの対応も論点に
診療報酬上の評価で意見対立

また、厚生労働省は、フォーミュラリや後発医薬品の今後の対応なども、「医薬品の適切な使用の推進」の論点として示した。

一般的に、「医療機関等で医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」を意味するものとして用いられているフォーミュラリについては、令和2年度の診療報酬改定に向けた議論のなかで、厚労省が推進するための診療報酬上の措置を提案した。

支払側は、2年度診療報酬改定に関する要請書や意見書のなかで、「有効性・安全性を前提に経済性も考慮した処方の推進策を診療報酬上で講じるべき」と訴えてきたが、診療側等の反対により導入は見送られ、2年度改定の答申書附帯意見に、「病院内における医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の取組について、院内における実施体制や実施方法等の実態把握や分析等を進める」と明記された経緯がある。

この日の会合では、厚労省から院内フォーミュラリや地域フォーミュラリの状況が改めて示されたほか、政府の「骨太方針2021」に、フォーミュラリの活用により後発品のさらなる使用促進を図るとの文言が盛り込まれたことなどが説明された。

他方、後発品については、令和2年2月時点で調剤割合が80%以上の薬局が全体の73%を占めていたことや、5年度末までに全都道府県で数量シェアを80%以上とする目標を新たに設定したこと、財務省から後発品調剤体制加算の廃止を含めた見直しや減算を中心とした制度への見直しが指摘されていることなどが報告された。

フォーミュラリに対し、診療側の城守委員は、定義が明確でなく、策定の方法やプロセスも確立していない現状から、「診療報酬で評価することは馴染まない」と言及し、従来の主張を改めて展開。

あくまでも治療指針等を示している学会等が推奨するガイドラインにもとづく医薬品を中心に、各医療機関が一定の自由度を持って導入を検討するものとの考えを示した。

有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「フォーミュラリは、院内、地域の違いやそれぞれの定義などを整理、明確にしたうえで検討していくことが必要」と問題提起。フォーミュラリの適切な活用は重要と指摘する一方、診療報酬の評価は、「慎重な議論が必要」とした。

健保連の幸野理事は、「厚労省の研究班がフォーミュラリガイドラインの策定に取り組むなど、前回改定と比べ環境も整ってきた」と述べたうえで、「フォーミュラリをさらに推進していくためには、診療報酬上の評価は必要」と改めて強調し、具体的な対応について検討を進めていくべきとの見解を示した。

財務省から指摘された後発品調剤体制加算の見直しについては、診療側の有澤委員が、「ペナルティーありきの評価設定には明確に反対する」と言及し、減算を中心とした制度への見直しを牽制。

一方、健保連の幸野理事は、加算と減算の対象範囲の妥当性など、新たな数量シェア目標を踏まえ、次期改定で加算のあり方を見直す必要があるとした。

このほか、診療側の城守委員は、処方箋様式の変更不可欄について、「後発品に変更しがたい剤型や、先発品と後発品とで適用が異なる品目も存在するので、削除すべきでない」と主張。

健保連の幸野理事は、「処方箋様式の変更不可欄は役割を終えた」との認識を示し、見直しの検討を求めた。

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