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健保ニュース 2021年6月下旬号

厚労省が2年度入院調査を提示
「必要度Ⅱ」の届出割合が増大
入院分科会 中医協基本小委に報告

厚生労働省は、一般病棟入院基本料など6項目の見直しの影響を検証した「令和2年度調査」の結果(速報その2)をまとめ、16日に開催した入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)に提示した。

委員からは、2年度診療報酬改定と新型コロナウイルス感染症の影響の識別が必要との指摘や、医療従事者の働き方改革に資する評価方式である「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」の啓発を求める意見があった。

23日に開催された中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会に報告した。
 2年度調査は、①一般病棟入院基本料等②地域包括ケア・回復期リハビリテーション病棟入院料③療養病棟入院基本料④障害者施設等入院基本料等⑤医療資源の少ない地域⑥その他─の6項目。

このうち、①の調査結果をみると、診療実績データから変換する評価方式である「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を届け出ている施設は、急性期一般入院料1で約6割となり、平成30年度調査時(約2割)から3倍程度、割合が増えた。他方、看護師等が患者の状態を記録する評価方式である「必要度Ⅰ」の届出割合は、30年度調査時の約8割から約4割に半減した。

「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」を届け出ている理由をみると、「診療実績データによる評価より、評価表の記入の方が容易であり、Ⅱに変更する必要性を感じない」が最多。一方、「必要度Ⅱ」を届け出ている理由は、「Ⅱを用いた場合、Ⅰよりも評価記入者の負担が軽減される」などが多い。

また、2年度改定後の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合をみると、急性期一般入院料1・2とも「必要度Ⅰ」は大きな変化はなかったが、「必要度Ⅱ」は該当患者割合が高い医療機関が多かった。

2年度改定では、許可病床数400床以上の医療機関について、「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を用いることを要件化しており、大規模な医療機関で重症患者を受け入れている状況が示唆される。

一方、コロナ患者の受け入れ有無に着目した分析によると、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ・Ⅱ」の該当患者は、受け入れ有りの施設で割合が低い傾向がみられた。

さらに、「重症度、医療・看護必要度」の各基準を満たす患者の割合をみると、手術等の医学的状況を評価項目とする「基準3(C項目1点以上)」は、「必要度Ⅰ・Ⅱ」とも受け入れ有りの方が割合は低かった。コロナ患者の受け入れに伴い、予定していた手術を中止・延期した影響と想定される。

このほか、2年度から患者割合の基準を下回った医療機関は、コロナ受け入れ有無の両方で存在しており、厚労省は、「統一的な傾向は見て取れない」との認識を改めて示した。

調査結果②は、地域包括ケア病棟・病室の利用にかかる趣旨について、「自院の急性期病棟からの転棟先として利用している」とする医療機関が60.5%と最多を占めた。2年度改定前の平成30年度調査時(63.8%)から大きな変化はなかった。

調査結果③をみると、療養病棟入院基本料における医療区分2・3患者の占める割合は、入院料1は9割強、入院料2は7割弱、経過措置は5割強の状況となっている。このほか、介護医療院を退棟先とする療養病棟の割合は2.4%だった。

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