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健保ニュース 2021年6月中旬号

改正医療法等の着実な施行へ
医療部会 外来機能明確化の議論に着手
かかりつけ医機能と合わせ検討

社会保障審議会医療部会(永井良三部会長)は3日、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」の施行に向け、改正項目の検討の場を新設し、具体的な議論に着手することを決めた。

委員からは、来年4月に施行する外来医療機能の明確化・連携の検討に意見が集中し、厚生労働省は、かかりつけ医機能の明確化とセットで議論を進めていく方針を明示した。

改正医療法等は、▽医師の働き方改革▽医療関係職種の業務範囲の見直し▽新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけ▽外来医療の機能の明確化・連携─などの措置を講じることを目的とし、5月21日に成立した。

この日の会合では、厚労省が同法の各改正項目の着実な施行に向けて、今後、各検討会で具体的な議論を行っていく方針を示した。

各改正項目のうち、令和6年4月1日から施行する「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけ」は、「第8次医療計画に関する検討の場」を新設し、基本方針の改正や具体的な記載項目などについて議論する。

合わせて、4年4月1日から施行する「外来医療の機能の明確化・連携」は、医療資源を重点的に活用する外来、外来機能報告、地域における協議の場、医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関について議論するため、「第8次医療計画に関する検討の場」の下に、ワーキンググループを設ける。

一方、6年4月1日に向け段階的に施行する「長時間労働の医師の労働時間短縮および健康確保のための措置の整備等」は、厚労省令で規定する内容などを「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で議論。

また、3年10月1日から施行する「医療関係職種の業務範囲の見直し」は、「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」で議論を進めていくこととした。

神野正博委員(全日本病院協会副会長)は、「外来医療機能の明確化・連携に向けては、どこの医療機関がかかりつけ医機能を持っているかを明確化しないと、患者にとって非常にわかりにくい制度となる」と指摘。

かかりつけ医機能を明確化することなく、定額負担のみを先行して議論することは、「ナンセンスである」と強く訴え、「医療資源を重点的に活用する外来機能と、どこのクリニック、病院がどういうかかりつけ医機能を持っているかをセットで考えるべき」と問題提起した。

健保連の河本滋史常務理事は、新型コロナウイルス感染症禍で顕在化した様々な課題に対し、「医療機能の分化と連携が1つのキーワードになる」と言及。

発熱時対応やワクチン接種をはじめ、「かかりつけ医に対する国民の関心が今ほど高まっている状況はない」との認識を示し、「しっかりと足早にかかりつけ医機能の明確化を検討していく必要がある」と強調した。

厚労省は、かかりつけ医機能の強化・活用にかかる好事例の収集や取り組みの横展開、専門家による評価、今後に向けた提言を行う調査・普及事業を今年度に実施すると報告したうえで、「外来医療機能の明確化・連携とセットでしっかりと議論していく」と明言した。

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