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健保ニュース 2020年1月中旬号

被用者保険の適用拡大で新試算
健保組合は40億円の負担増
50人超企業、2か月超勤務で推計

厚生労働省は12月25日、被用者保険の適用拡大による財政影響について、新たな試算を社会保障審議会の医療保険部会に示した。企業規模要件を従業員数50人超まで引き下げ、法律や会計事務を取り扱う士業を適用業種に追加し、短時間労働者の勤務期間要件を2か月超に緩和した場合、令和元年度予算にもとづく医療と介護の収支で、健保組合の財政は被扶養者の減少によって210億円改善するが、被保険者の増加によって250億円悪化し、差し引き40億円の負担増になる。

健保連の佐野雅宏副会長は、「全体感としては理解できたが、健保組合のなかでも業種・業態ごと相当に影響が異なる。なお詳細に分析したうえで、財政影響を受ける健保組合に対してはぜひ財政支援をお願いする」と述べた。

新試算によると、適用拡大の対象者数は国民健康保険の被保険者約40万人と被用者保険の被扶養者約30万人の合計約70万人で、このうち約20万人が健保組合に加入する。士業の約5万人はすべて協会けんぽに適用されると仮定した。弁護士と税理士の国保組合は引き続き加入することとした。

協会けんぽの財政は、被扶養者の減少によって200億円改善するが、被保険者の増加で250億円悪化し、差し引き50億円の負担増になる。共済は現行でも従業員数にかかわらず適用しているため、被扶養者が抜ける効果だけが生じ、財政が50億円改善する。国保は財政影響がない。

国庫負担は490億円減、地方負担は210億円減で、公費支出が合計700億円減少する。一方、事業主負担は全体で680億円増加する。

このほか厚労省は、雇用契約2か月以内の従業員について、継続反復して2か月以上勤務することが見込まれる場合、当初から被用者保険を適用する方向性を示した。現行は勤務期間が2か月経過してから被用者保険の適用対象になるが、短時間労働者の適用拡大に合わせて、雇用の実態に即して早期加入できるよう、取り扱いを見直す。

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