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健保ニュース 2023年2月中旬号

協会けんぽ・5年度都道府県単位保険料率
支部間格差は0.31ポイント縮小
33支部が料率引き下げ

全国健康保険協会運営委員会(座長・田中滋埼玉県立大学理事長)は1月30日、協会けんぽの令和5年度都道府県単位保険料率を了承した。保健事業の評価を都道府県単位保険料率に反映するインセンティブ制度において、激変緩和措置が前年度で終了。そのため、5年度は同制度による加・減算の幅が拡大したものの、支部間格差は1.18ポイントと、前年度比0.31ポイント縮小し、前々年度と同水準になった。前年度に比べ、引き上げは13支部だった一方、引き下げは33支部で過半数を占めた。また、都道府県単位保険料率が10.0%を超えた支部は20支部だった。

この日の運営委員会が了承した5年度における都道府県支部別の健康保険料率(「都道府県単位保険料率」)は、前年度と比べ▽引き上げが13支部▽引き下げが33支部▽変更なしが1支部─で、静岡支部を除く46支部で料率の変動があった。

都道府県単位保険料率が平均保険料率の10.0%を超えたのは20支部で、前年度に比べ3支部減少した。なお、平均保険料率と同率の支部が1支部(東京支部)あった。

保険料率の高い支部は、佐賀(10.51%)、福岡(10.36%)、熊本(10.32%)、北海道・大阪(10.29%)、島根・鹿児島(10.26%)の順。逆に保険料率の低い支部は、新潟(9.33%)、長野(9.49%)、福島(9.53%)、富山(9.57%)、石川(9.66%)、山梨(9.67%)、茨城・滋賀(9.73%)の順となっており、西高東低の様相を呈している。

前年度との比較で、最高料率の佐賀支部は0.49ポイント減、最低料率の新潟支部は0.18ポイント減となっており、最高と最低の支部間格差が0.31ポイント減の1.18ポイントに縮小した。佐賀支部は当該年度で最高料率の支部となったのが平成23年度以降13年続いており、新潟支部は同様に最低料率となったのが27年度以降9年連続。

前年度からの引き上げ幅の大きい支部は、東京(0.19ポイント)、奈良(0.18ポイント)、神奈川(0.17ポイント)など。同様に引き下げ幅の大きい支部は、佐賀(▲0.49ポイント)、秋田(▲0.41ポイント)、鹿児島(▲0.39ポイント)などとなっている。

5年度の医療分の収支見込みでは、収入が11兆2466億円で、内訳は保険料収入9兆9503億円、国庫補助等1兆2749億円。支出が11兆333億円で、内訳は保険給付費6兆9094億円、前期高齢者納付金1兆5475億円、後期高齢者支援金2兆2260億円などとなっている。経常収支は2133億円の黒字を見込み、単年度の収支が均衡する保険料率は9.78%。

他方、前回4年12月16日の運営委員会では、高齢化による将来の支出増に備える観点から、平均保険料率は10.0%で意見集約。これを踏まえ全国の平均保険料率は10.0%を維持する前提で収支を見込んだ。準備金残高は黒字分を全額繰り入れ4兆9602億円と予測した。

都道府県単位保険料率は都道府県支部ごとの医療給付費にかかる所要保険料率に年齢、所得の調整を行ったうえで、現金給付費や前期高齢者納付金等、保健事業費等などにかかる保険料率(4.64%)を全支部一律で加算し、インセンティブ制度による加・減算を反映する。

インセンティブ制度は、特定健診・保健指導の実施率や後発医薬品の使用割合などをもとに都道府県支部ごとの保健事業の評価を都道府県単位保険料率に反映する。制度導入にあたり講じた激変緩和措置が4年度で終了し、評価が高い支部の保険料率を軽減する原資として全支部が負担するインセンティブ制度の保険料率は、5年度から健康保険法施行規則の規定どおりとなった。

これにより5年度における同制度の影響は保険料を負担する支部が0.010ポイント増、最も減算の大きい支部(岐阜支部)が0.084ポイント減(4年度は同0.007ポイント増、同0.051ポイント減)となり、加・減算の幅が拡大した。

当該支部における都道府県単位保険料率に対する支部長の意見をみると、▽「妥当」、「容認」が31支部(前年度22支部)▽「やむを得ない」15支部(同21支部)▽「反対」1支部(同4支部)─となっており、前年度より料率の維持に理解が進んだ。「反対」の意見を提出した島根支部長は、5年度の保険料率を前年度から0.09ポイント引き下げ10.26%とすることに対し、医療費の増減が相対評価で保険料率との連動性が分かりにくいことなどを理由に、保険料率をより引き下げ、全国一律で10%とするよう強く要望した。また、ほかの支部からも医療費の変動が保険者の努力が及ぶ範囲を超えているとの意見や支部間格差の縮小を求める意見があった。

また、この日の運営委員会では、5年度の船員保険の保険料率についても承認された。疾病保険料率は9.70%から9.80%へ引き上げ、介護保険料率は前年度比0.15ポイント増の1.69%とした。

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