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健保ニュース 2023年1月中旬号

かかりつけ医に関する考え方を講演
河本専務理事 めざす仕組みへ主張展開
質担保と連携強化が急務

健保連の河本滋史専務理事は12月19日、日本記者クラブ主催の「かかりつけ医を考える」と題するセミナーで講演した。かかりつけ医機能に関する医療機関の質の担保や、患者と医師のかかりつけ関係の明確化の制度整備について、健保連がめざす仕組みに近づけるための主張を展開する意向を示した。質の高いかかりつけ医の養成と連携の強化を急ぐ必要性も指摘した。

健保連は11月、かかりつけ医の制度整備に向けて、医療機関の質を担保するための公的な認定や、かかりつけ関係を明確にするために患者が選んだ医師を任意で登録する仕組みの導入を提言した。しかし、政府の全世代型社会保障構築会議や社会保障審議会医療部会の議論を踏まえた医療法改正では、医療機関が報告した機能を都道府県が確認・公表する制度や、医療機関が提供するかかりつけ医機能の内容を患者に書面交付する仕組みの導入にとどまる見通し。

河本専務理事は講演で、制度整備の方向性について「健保連が求めているほどクリアな認定や登録ではない」としつつも、今後の詳細な制度設計や将来的な制度拡充に期待感を示した。

かかりつけ医機能の確認・公表に関しては、「確認して機能が十分でなければ、公表を取りやめることはあり得る」とし、法改正後の具体的な運用ルールの検討に向けて、「単に書類を確認するのではなく、質が担保できるように強く主張していきたい」と述べた。

医療機関から患者への書面交付については、全世代型社会保障構築会議が電子的手段も視野に入れていることに言及し、「電子的に上手く運用すれば、健保連が求めるかたちに近づいていくのではないか」との見方を示した。紙による運用の場合、加入者ごとにかかりつけ医が誰なのか保険者が個別に把握するための事務作業量は膨大だが、電子的手段であれば作業を効率化できるためだ。

河本専務理事は、「とにかく前に進めたい。本来は国にやってもらえれば一番良いが、そうでない場合に我々として何ができるのか、しっかり考えていきたい」と意気込みを語った。

国民・患者が希望に応じてかかりつけ医を選択できるようにする観点からは、「医師の養成がかなり肝になる」と強調した。そのうえで、「対応できる医師がどの程度必要なのかということと、どう養成するかが表裏一体の関係にある」と述べた。

開業医の再研修を含め、総合診療能力をはじめとする技術の習得にはある程度の期間が必要で、形式的に人数を増やそうとすれば十分な質を担保できない懸念がある。河本専務理事は、人口が減少するなかで数年後に団塊の世代がすべて後期高齢者となることを踏まえ、「時間がないことは間違いない。どれだけ質を担保しながらハイスピードでかかりつけ医の養成を進められるかということを考えなければならない」と述べた。

複数の医師・医療機関が連携してかかりつけ医機能を確保することについては、「連携は必要。いくつかパターンはあると思うが、いずれにしても強い連携でなければ、かかりつけ医機能が十分に発揮できているとは言えないのではないか」と指摘した。個々の医師の能力向上と同時に連携強化の取り組みを平行して進めることにより、「タイトな連携関係が構築できて、初めてかかりつけ医機能を有するということが認定されるべき」との認識を示した。

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