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健保ニュース 2023年1月中旬号

令和5年度健保組合関係予算案
出産育児一時金 増額に41億円の財政支援
適用拡大満年度化で支援倍増も

政府は12月23日の臨時閣議で令和5年度予算案を決定した。このうち、厚生労働省所管の健保組合関係助成費は、一般会計と復興特別会計を合わせて4年度当初予算に比べ47億円増の総額934億円を計上。出産育児一時金の引き上げに伴う健保組合への財政支援として、41億円が補助された。高齢者医療への過重な拠出金負担を軽減するための財政支援は、4年度当初予算と同額の820億円を確保。他方、4年10月から施行された短時間労働者の適用拡大に伴う影響が満年度化することを踏まえ、健保組合への財政支援を4年度当初予算比5億4713万円増の10億4493万円に倍増した。

令和5年度予算における健保組合関係助成費は、高齢者医療運営円滑化等補助金などを含む一般会計分が4年度当初予算比46億9804万円増の931億4629万円、復興特別会計にもとづく補助金が4年度当初予算と同額の2億5780万円で、合計934億408万円を計上した。

一般会計分の約47億円の増額は、出産育児一時金の引き上げに伴う保険料率影響度合いに着目した財政支援である「健保組合等出産育児一時金臨時補助金」(40.6億円)の新設が主な要因。

5年度から8万円という大幅な引き上げが行われる出産育児一時金に対して、6年度以降は後期高齢者医療制度から支援金が充当されることも考慮し、5年度に限って、健保組合に増額分の一部について国庫補助を実施。

財政負担増の割合が高い健保組合に重点的な補助を行う観点から、出産育児一時金1件当たり、▽赤字保険者は8千円~4万円▽黒字保険者は4千円~2万円─の補助額を算定する。

高齢者医療運営円滑化等補助金は736億5947万円(4年度当初予算比6億3654万円増)で、このうち、高齢者医療支援金等負担金助成事業は4年度当初予算比5億4713万円増の730億8979万円。

内訳は、▽前期高齢者納付金に着目して拠出金の負担増を抑制する高齢者医療支援金等の負担に対する助成事業に720億4486万円(指定組合への助成7.9億円含む)▽被用者保険の適用拡大にかかる健保組合への財政支援に10億4493万円─となっている。

主に健保組合の拠出金負担を軽減する財政支援措置は、支援金等の負担に対する助成事業720億4486万円と、拠出金が特に重い上位保険者の負担を軽減する高齢者医療特別負担調整交付金の100億円を合わせて全体で820億4486万円を確保し、いずれの助成事業も4年度当初予算と同額を計上した。

高齢者医療支援金等負担金助成事業のうち、被用者保険の適用拡大にかかる健保組合への財政支援は、健康保険・厚生年金の適用を受ける企業規模要件が4年10月から緩和され、現行の従業員数500人超の規模が100人超へと拡大されたことに対応。これにより、短時間労働者の加入が促進し、財政が逼迫する恐れのある健保組合に助成する。

5年度は、加入者増に伴う法定給付費の増加による影響が満年度となることを踏まえ、4年度当初予算比5億4713万円増の10億4493万円を計上した。

前年度と同様、法定給付費の増加に着目した財政支援を行う。法定給付費にかかる所要保険料率(法定給付費/総報酬額)が1.5‰を超える部分に対し、▽1.5‰超~3‰以下(法定給付費相当額の1/2)▽3‰超~4.5‰以下(同2/3)▽4.5‰超(同3/3)─の合計額に2/3を乗じて算定。40組合程度の交付を見込む。

このほか、5年度の事務費負担金は26億6023万円で、一般分、介護分ともに被保険者1人当たり単価を据え置いた。

特定健診・保健指導補助金は、4年度当初予算と同額の27億1744万円を確保し、特定健診・保健指導の実施に要する経費の3分の1相当を助成する。

高齢者医療制度円滑運営事業費補助金の保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業も、4年度当初予算と同額の4765万円を計上。同事業は、4年度から、糖尿病性腎症の重症化予防に加え、循環器病の予防・進行抑制を目的とした生活習慣病の重症化予防のための保健指導等も補助対象とする拡充を行った。

被用者保険運営円滑化推進事業の健保組合向け補助金「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」は、成果連動型民間委託方式(PFS)の助成対象組合の増加を見込み、1億7990万円(4年度当初予算比6220万円増)を計上。

健保連向けデータヘルス推進事業は前年度比600万円増の4120万円を計上した。
 被用者保険運営円滑化推進事業の「特定保健指導等支援の共同事業」は、健保組合の保健師共同活用に要する経費への助成に3億4858万円を計上。6年度から始まる「第3期データヘルス計画」における事務の負担増を見込み、前年度比2122万円を増額した。

復興特別会計は、東日本大震災による原発事故避難者の受診時一部負担減免に補助する災害臨時特例補助金や特定健診・保健指導補助金を盛り込んでいる。

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