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健保ニュース 2021年12月上旬号

自民党が予算等ヒアリング
健保連 拠出金負担軽減など要請

自民党の組織運動本部と政務調査会は11月26日、党本部で予算・税制等に関する政策懇談会を開き、厚生関係団体からヒアリングを行った。懇談会に出席した健保連の佐野雅宏副会長は、令和4年度から団塊の世代が後期高齢者入りすることで拠出金負担が急増するなか、新型コロナウイルス感染の影響を受けた企業業績・賃金水準の低迷などで健保組合財政が厳しさを増している状況を踏まえ、早急に財政運営の安定化を図り、保険者機能が十分に発揮されるよう各種の財政支援の強化を要望した。

自民党は、組織運動本部長の小渕優子衆院議員、厚生労働部会長の牧原秀樹衆院議員、三ツ林裕巳衆院議員、大串正樹衆院議員、衛藤晟一参院議員、福岡資麿参院議員などが出席した。

佐野副会長は、健保連作成の資料「令和4年度予算並びに補正予算に向けた重点要望事項」を提示した。

重点要望事項は、①高齢者医療のための拠出金の負担軽減②保険者機能の強化のための財政支援③デジタル化を推進するための財政支援④ワクチン職域接種の取り組みの推進⑤適用拡大への財政支援─を柱とする。

①では、コロナ禍で報酬水準が低下し、負担度合いが増していることから、「高齢者医療運営円滑等補助金」(高齢者医療支援金等負担金助成事業=720.4億円)の増額と合わせて、義務的経費に占める拠出金負担率に着目した特別負担調整交付金(100億円)の拡充を求めた。

②では、保険者機能強化支援事業が今年度で終了することを踏まえ、コロナの影響で財政状況が厳しく保険者機能の発揮が一層困難となっている健保組合への支援を要望した。

③では、▽電子処方箋など今後のICTシステムの構築に際して、試用期間といえるシステム立ち上げ時期については、国が運営費を負担するとともに、スケジュール管理を行う▽電子申請から電子決裁、電子文書保存に至る健保組合の業務全般のデジタル化推進に財政支援する─ことを求めた。

④は、全国的なワクチン接種の体制を支える職域接種に積極的に取り組む健保組合に対し財政支援を要望。⑤は、4年10月からの短時間労働者への被用者保険適用拡大に伴い財政が厳しくなる健保組合への支援を求めた。

また、制度改正関係では、4年度後半に施行される後期高齢者の2割負担導入に伴う現役世代の負担軽減効果が限定的で拠出金負担増の10%にとどまるとの試算を提示。合わせて、コロナの影響が特に大きい業態の健保組合における著しい保険料収入の減少など窮状を訴え、先の通常国会での参院厚労委員会における健保法等改正案に対する附帯決議を踏まえた財政支援を強く要望した。

これに対し牧原厚労部会長は、「要望をしっかりと受け止め、実現できるよう取り組みたい」と述べた。

立憲など会派厚労部会で要望

また、健保連は11月25日、立憲民主党・社民党・無所属の共同会派による厚生労働部会での税制改正等の要望ヒアリングに出席し、4年度予算などに向けて意見陳述した。

健保連から河本滋史常務理事、田河慶太理事、工藤智司参与らが出席し、拠出金負担の軽減や保険者機能強化のための財政支援の必要性などを訴えた。

会派からは、厚労部会長の長妻昭衆院議員(立憲民主)、中島克人衆院議員(同)、阿部知子衆院議員(同)が出席した。

河本常務理事は健保組合の厳しい財政状況を説明し、健保組合が保険者機能を十分に発揮できるよう、「令和4年度予算並びに補正予算に向けた重点要望事項」の資料に沿って要望。このなかで特に高齢者医療のための拠出金の負担軽減と保険者機能の強化のための財政支援は不可欠であると強調した。

拠出金負担の軽減では、後期高齢者の2割負担の早期実施と合わせて、「現役世代の負担軽減に向けてさらなる取り組みと、補助金等の財政支援が必要」と訴えた。

保険者機能強化のための財政支援については、コロナの影響が特に大きい業態の健保組合における保険料収入の減少を踏まえ、「これらの業態の健保組合は、保険者の責務である保健事業を十分に実施することがままならず、財政支援が不可欠」と強調した。長妻部会長らは健保連の要望に理解を示した。

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