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健保ニュース 2021年2月中旬号

4年度改定に向けた医療経済実調
中医協 5月に単月調査の実施を判断

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の調査実施小委員会は3日、令和4年度の次期診療報酬改定に向けた「医療経済実態調査(実調)」について、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、5月を目途に項目を簡素化した3年度単月調査の実施の可否を決定することを了承した。

新型コロナウイルス感染症に伴う診療報酬上の特例対応や2年度改定の経過措置延長に伴い、通常の実調では2年度改定の影響把握が困難な状況のなか、支払側は3年度単月調査の実施を強く要望。診療側は単月調査を実施する場合、医療機関の実態が把握可能となるような工夫を求めた。

厚生労働省は1月13日に開催された中医協・調査実施小委員会の意見を踏まえ、医療経済実態調査にかかる主な論点を改めて提示した。

2年度改定の影響を把握する観点から、3年4月から6月のいずれかの月の損益状況を元年、2年の同月と比較する単月調査については、医業収益や医療・介護費用などにかかる調査項目を簡素化する。

そのうえで、3年度単月調査の実施の可否については、今後の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、春頃を目途に決定する対応を提案した。

新型コロナウイルス感染症患者の受入状況に関する調査項目については、病院の基本データの項目に「重点・協力医療機関の指定状況」を追加するほか、受入状況に応じた集計も行う。また、決算月で新型コロナによる影響が異なることに留意し、3月決算の施設のみを集計した結果も公表するとした。

有効回答率を向上するための対応は、診療側関係団体への協力依頼を引き続き実施することに加え、調査票と併せて経営状況のフィードバックの見本を送付する。

回答負担の軽減に向けては、フォントやレイアウトなどを工夫し、より見やすく記入しやすい調査票に変更するほか、電子調査票の利用を促進するとした。

このほか、調剤の実態をより正確に把握する観点から、保険薬局の調査項目に、「医薬品等費」の内訳として、「調剤用医薬品費」、「一般用医薬品費」を追加する対応を提案。

また、特定の保険医療機関との不動産の賃貸借関係の実態を把握するため、「賃貸借関係がある場合、賃貸借している不動産の種類(土地・建物か、それ以外か)」を問う項目を追加するとした。

健保連の幸野庄司理事は、厚労省が提案した対応に賛意を示したうえで、「特に、単月調査は限りなく実施する方向で準備すべき」と要望した。

2年度の診療報酬改定で、2年9月までの経過措置とされた急性期一般入院基本料や地域包括ケア病棟入院料の実績要件、回復期リハビリテーション病棟入院料の実績指数が3年3月まで半年間延長されたことは、「医療機関の経営上の収支に大きな影響を与える」と主張。

3年度の状況を見ないと2年度改定の影響を把握することはできないとの認識を示し、単月調査の実施を強く求めた。

診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は対応案に同意したえで、「医療機関で人件費の占める割合が高い要素は、新型コロナウイルス感染症の影響があっても変わらない」と指摘。

さらに、「新型コロナを予防するための経費増や施設運用の変更に伴う収入減は、新型コロナの影響が少ない月でも継続すると予想される」と述べ、そうした実態を把握するための調査設計の工夫が必要とした。

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