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健保ニュース 2019年6月上旬号

がん遺伝子パネル検査を初適用
検体採取から結果説明まで計56万円

厚生労働省は1日、がんに関連する百種類以上の遺伝子変異を同時に調べられる「がん遺伝子パネル検査」の医療機器2品目を、初めて保険適用した。いずれも製品の公定価格を設定せず、医療機関の技術料として検体採取時に8000点、検査結果を踏まえて患者に治療方針を説明する際に48000点で、合計5万6000点を算定する。次期定時診療報酬改定まで当面の間、既存の技術料を準用してレセプト請求する。中医協が5月29日に了承した。

保険適用したのは、国立がん研究センターが開発に加わった純国産の「オンコガイドNCCオンコパネルシステム」と、米国発の「ファウンデーションワンCDxがんゲノムプロファイル」。どちらも超高速解析の次世代シーケンサーを使い、大量の塩基配列を読み取る。検出できる遺伝子変異はNCCオンコパネルが114種類、ファウンデーションワンが324種類と違いがあるが、NCCオンコパネルは日本人のがん患者に多い遺伝子変異に重点化しているため、遺伝子変異のタイプに応じて最適な治療方法を選択する「がんゲノム医療」につながる国内患者数は、概ね同程度だ。ピーク時の予測使用患者数は各1万3000人で、合計2万~3万人と見込まれ、当面は年間数千人を想定する。

厚労省が指定する中核拠点病院と連携病院に実施を限定し、確立された治療法がなかったり、標準治療が終了した固形がんを対象に、患者の同意を得たうえで細胞組織を採取する。解析結果を中核拠点病院の多職種検討会(エキスパートパネル)で話し合い、医学的な解釈を主治医に戻す。がんゲノム医療の知見を蓄積するために、原則として国立がん研究センターにある「がんゲノム情報管理センター(C‐CAT)」に解析データを提出する。

健保連の幸野庄司理事は中医協で、エキスパートパネルの受け入れ体制の整備や医学的判断の標準化と、患者同意の統一ルール化を厚労省に求めた。

ファウンデーションワンは、特定の治療薬に対応した遺伝子変異だけを調べる「コンパニオン検査」の適応も承認された。コンパニオン検査として使用しても次世代シーケンサーで網羅的に解析するが、パネル検査として扱わず、特定の治療薬が標的とする遺伝子変異以外の情報は患者に知らせない。C‐CATへの報告も必要がない。ただし、コンパニオン検査にもとづく治療が終わった後、パネル検査に切り替えることができる。先行して得られている解析結果を活用するため、検体採取時の8000点が算定せず、エキスパートパネルによる検討やC‐CATへの報告から患者説明までの48000点だけで済む。

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