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健保ニュース 2026年6月上旬号

健保法改正案 参院厚労委で審議入り
年間上限超過分 償還時期 保険者で異なる
翌年8月以降に事後払い

健保法等改正案が5月14日、参院厚生労働委員会で審議入りした。今年8月からの高額療養費制度の見直しに伴い、新たに導入される自己負担額の「年間上限」で、上限超過分の費用を患者に償還する時期について、厚生労働省の間隆一郎保険局長は「年間上限が新しい仕組みであるため、実務を担う保険者によって多少異なると考えている。今の時点で何か月後と言うのは難しい」と述べた。公明党の川村雄大氏への答弁。

年間上限は、長期療養者などへの配慮から、8月~翌年7月の1年間の自己負担の合算額が一定額を超えると、高額療養費の支給対象となる仕組み。該当者は約50万人と見込まれている。

間局長は、「翌年8月以降に年間上限額を超えた費用を事後的に償還するのがスタート時点の仕組み」と説明した上で、「できるだけ速やかに償還するよう保険者などに協力を求めていきたい」と強調した。

川村氏は、患者の一時的な負担増を回避するため、年間上限に達したら、医療機関の窓口で自己負担の支払いが発生しない現物給付化を実現するよう求めた。

間局長は、「現物給付化に向かって進みたいとは思っている」とし、その場合の対応として、「被保険者の自己負担額、被扶養者がいる場合には被扶養者分も含めてリアルタイムで把握、集計した上で、年間上限額に到達した場合に即座に被保険者に通知することが考えられる」と応答した。

一方、診療月の翌月10日までに診療報酬を請求する現行ルールとの兼ね合いから、「累積自己負担額をリアルタイムで保険者が把握する仕組みを一から作る必要がある」と指摘。全保険者のシステム改修が必要となることを課題に挙げつつ、「(現物給付化は)患者負担軽減の観点から、大事なテーマなのでシステム、実務面の対応も含めて関係者と早期に課題を整理したい」と述べた。

この日の厚労委は、高額療養費制度の見直しが論点の一つとなり、特に立憲民主、公明両党が自己負担限度額引き上げによる生活への影響を懸念するとともに、運用改善を求めるなど集中的に取り上げた。

高療見直しへの懸念
「受診抑制、想定せず」
上野厚労相

上野厚労相は、高額療養費制度の見直しへの懸念に対し、長期療養者への配慮として多数回該当の金額を維持することや、年間上限の新設に加え、年収200万円未満の患者の多数回該当の金額を引き下げるなど低所得者に配慮したとし、「必要な受診が抑制されるとは想定していない」と述べた。

立憲民主の山内佳菜子氏は、加入する保険者が変わっても、多数回該当のカウントが新保険者に引き継がれるようにすべきと主張した。

また、70歳未満では2万1000円未満の自己負担額を高額療養費の合算対象外としている現行の仕組みを改め、70歳以上と同様に合算できるよう求めた。

上野厚労相は、多数回該当のカウントの引き継ぎについて、「現時点で具体的な実現の時期を言うのは難しいが、精力的に取り組み、できるだけ早期に実現できるよう関係者と調整したい」と述べた。

2万1000円未満の取り扱いは、「(解消するのに)1000億円超の財源が必要となり、厳しい医療保険財政の中でどのように考えるのか課題だ」と慎重な姿勢を示し、見直しの優先順位として「将来的な見直しの中で、長期療養者や低所得者への配慮を検討する必要があると現時点で考えており、こうしたことも含めて全体の中で議論する必要がある」と述べた。

今回の改正では、高額療養費の支給要件などを政令で定める際の考慮事項の条文に、現行の家計負担に加え、特に長期療養者の家計への影響が新たに追加される。

山内氏はこれを踏まえ、自己負担限度額引き上げなどによる影響調査を実施し、検証結果をさらなる見直しに反映すべきと提案した。

上野厚労相は、制度改正前後の受診動向の変化を分析する必要があるとし、具体的な分析方法を今後検討すると言及。今年8月、9年8月の段階的な高額療養費制度の見直しをパッケージとして調査する意向を示した。

山内氏は、疾病に伴う給与減少を即時に随時改定に反映し、これに併せて、高額療養費制度の所得区分を早期に変更することも要望。現在は給与変動後の4か月目から随時改定が適用されるが、「給料が下がったのに等級が変わらず、高額療養費の自己負担限度額が高いままというケースが出てくる」と指摘した。

上野厚労相は、「(随時改定は)高額療養費制度のためにある制度ではない」と述べ、随時改定を即時に実施し、標準報酬月額を毎月変動させると、「急に保険料負担が上昇する場合もあり、これで理解、納得が得られるのか」「保険者の実務的な負担が非常に大きくなり、即時対応は困難な課題が多い」と否定的な見解を示した。

また、今回改正の柱の一つである、妊娠・出産に対する支援の強化では、正常分娩の基本単価を全国一律に設定し現物給付化するとともに、分娩施設の体制や役割に着目して加算を設けることとなっている。

間局長は、「正常分娩の給付水準や加算措置のあり方については、保険料への影響を考慮しながら、分娩施設の経営実態も踏まえ、最終的に中央社会保険医療協議会に諮問した上で決定する」と答弁した。

給付水準の設定に向けては、「単に平均費用ではなく、施設の機能別、地域別、診療報酬の算定の有無など細かく費用構造などを分析し、丁寧に検討する」とし、施行後も定期的に検証し、必要に応じて水準を見直す考えを示した。

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