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健保ニュース 2023年10月下旬号

熊本連合会が熊本市で時局講演会
馬場氏 西野氏 健保組合に講演し質疑応答

健保連の熊本連合会(会長・岩立康也肥後銀行健保組合理事長)と本部は7日、熊本市内で時局講演会を共催。健保組合関係者73人が参加した。

講演会には先の内閣改造で総務副大臣に就任した自民党の馬場成志参院議員と同党の青年局国際部副部長を務める西野太亮衆院議員が講演するとともに、健保組合からの質疑に応答した。

馬場氏は、健保組合が健診の着実な実施や重複投薬を防ぐ取り組みなどにより、加入者の健康を守っていることを高く評価した。一方、こうした取り組みや組合運営が、重い拠出金負担により支障を生じてはならないとし、健保組合が解散して協会けんぽに移行することがないよう、「健保組合をしっかり守らなければならない」と強調した。

そのうえで、自民党の有志議員で「国民皆保険を守る国会議員連盟」を設立し、健保組合からの要請を踏まえた活動が少しずつ積み重ねられてきていると紹介し、健保組合が事業に取り組めるようしっかりと活動を進めていく意向を示した。

健保組合をめぐる課題としては、マイナンバーカードと健康保険証の一体化の推進状況を説明するとともに、物価の上昇を踏まえた賃金の引き上げに伴いこれまで以上に表面化しているいわゆる「年収の壁」の問題に対し、政府が対応を検討しているとした。蒲島郁夫熊本県知事の「100年の礎を築く」、岸田文雄首相の「わが国は明治や戦後などに受け入れざるを得ない大きな変化に直面し、それをチャンスに変えてきた」といった発言を紹介。「変革の時代に政治の場で働かせていただいているなか、設計図を誤らないよう皆さんからさまざまな話を聞きながら、しっかりと前に進めていきたい」と表明した。

西野氏は、自民党青年局国際部副部長として、台湾との非政府間の実務レベル交流で重要な役割を果たしてきた活動を踏まえ、日台関係を中心とした国際問題を解説。続いて、参加者から募集した質問に回答した。

まず、岸田政権が訴える賃上げを本当の意味で実現するため、税や保険料を除いた可処分所得を上げる必要性を質問に取り上げた。西野氏は、「仮に賃金が上がっても、使えるお金が増えなければ生活は豊かにならない」と述べ、可処分所得を上げる必要性に同意。政府による▽企業の内部留保の還元による「賃金の引き上げ」▽来年4月から後期高齢者1人当たりの保険料と現役世代の1人当たり後期高齢者支援金の伸び率を揃える制度改正による「社会保険料の抑制」▽減税による「税負担の抑制」─の3点の取り組みを説明した。

全世代型社会保障における取り組みへの質問に対しては、資産を多く保有する高齢者の負担やマイナンバーと健康保険情報の紐付けによる薬剤費の適正化といった論点を解説したうえで、「健保組合の意見を聞きながら取り組みたい」と意気込みを語った。

「年収の壁」対策で被保険者が増加することにより、収入と支出のバランスが崩れ、健保組合は財政が悪化するのではないかとの懸念に対しては、「被保険者が増えることで、医療保険全体でみれば保険料収入が増える」と指摘。収支バランスへの影響が保険者ごとに異なることを踏まえ、「2025年度の年金改正に向けて皆さんの意見を聞きながらしっかりバランスの取れた制度にしたい」と言及した。

事前の質問に加え、会場から熊本銀行健保組合の新改勝也常務理事が、来年秋とされているマイナンバーカードと健康保険証の一体化の実施時期を再確認した。これに対し馬場氏は、河野太郎デジタル相の「変更の考えはない」との発言を紹介したうえで、準備にあたっての懸念があれば聞き取る姿勢を示した。

講演会の冒頭、熊本連合会の林田千春事務局長が、公務により出席が叶わなかった本田あきこ参院議員からのメッセージを読み上げた。本田氏は診療報酬と介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定の議論が年末に向けて本格化する重要な時期に、社会保障や財政に精通する講師を迎えた講演会の盛会を祈念した。

続いて開会のあいさつに立った健保連の河本滋史専務理事は、国の少子化対策、医療DXといった国策に協力し、5年度政府補正予算と6年度政府予算の議論にあたり健保組合への支援を要望していく考えを表明。「年末年明け以降に向け、諸課題について健保連の各委員会でしっかり議論し、自民党の国民皆保険を守る議員連盟の所属議員の支援をいただきながら、要求・主張の実現を図っていきたい」と語った。

閉会にあたりあいさつした肥後銀行健保組合柴垣裕之常務理事は、健康保険を取り巻く環境は、マイナンバー制度やいわゆる「年収の壁」の解消など刻々と変動していると指摘。健保組合としても将来を見通すことが難しい局面を迎えているなか、参考となる有意義な会合を開催できたと、謝意を表した。

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