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健保ニュース 2023年9月中旬号

令和6年度予算概算要求
健保組合助成は900億円
被用者保険の財政支援強化 予算編成過程で検討

厚生労働省の令和6年度予算概算要求にもとづく健保組合関係助成費は、総額900億7470万円(前年度当初予算比33億2937万円減)を計上した。

高齢者医療拠出金の過重な負担を軽減するための財政支援の規模は前年度当初予算と同額の820億円を設定するとともに、来年10月から施行される短時間労働者の適用拡大に伴う負担増の緩和に6億3460万円(同4億1033万円減)の財政支援を計上。また、出産・子育ての安心につながる環境整備等の取り組みに対する財政支援として、9億9000万円の国庫補助を新たに要求した。

前年度当初予算比33億2937万円の減額は、5年度から8万円という大幅な引き上げが行われる出産育児一時金に対して、6年度以降は後期高齢者医療制度から支援金が充当されることも考慮し、5年度に限って健保組合に増額分の一部について国庫補助を実施した「健保組合等出産育児一時金臨時補助金(40億6149万円)」を6年度予算概算要求で計上していないことが主な要因。

さらに、▽拠出金負担に対する特別負担調整の拡充(100億円)▽健保組合の交付金交付事業への財政支援(100億円)▽高齢者医療運営円滑化等補助金の拡充(230億円)─の合計430億円の国費による支援を追加する「医療保険制度改革に伴う被用者保険への財政支援強化への対応」は、金額を明示しない「事項要求」として、年末の予算編成過程で検討することとしており、最終的な健保組合関係助成費は大きく変動する見通しだ。

6年度予算概算要求では、健保組合の助成費の大半を占める高齢者医療運営円滑化等補助金が742億3914万円(同5億7966万円増)。

このうち、高齢者医療支援金等負担金助成事業に736億6946万円を要求し、内訳は、▽主に健保組合の過重な拠出金負担の軽減を目的とする財政支援が前年度当初予算と同額の720億4486万円(指定組合に対する助成7.9億円含む)▽適用拡大に伴う負担増への財政支援(6億3460万円)▽出産・子育ての環境整備等の取り組みへの財政支援(9億9000万円)─となる。

拠出金負担の軽減措置は、支援金等負担金助成事業の720.4億円に加え、拠出金負担が特に重い保険者の負担軽減に国費を投入する特別負担調整交付金100億円(前年度当初予算と同額)を要求し、両者を合わせて820億円規模となる。

適用拡大に伴う負担増への財政支援は、4年度予算では、健康保険・厚生年金の適用を受ける企業規模要件が4年10月から緩和され、従業員数500人超の規模が100人超へと拡大することに対応した。半年分の財政影響を勘案し、5億円を設定。

加入者増に伴う法定給付費の増加による影響が満年度となる5年度予算は、前年度当初予算比5億4712万円増の10億4493万円を設定した。

これに対し、6年度予算概算要求は、健康保険・厚生年金の適用を受ける企業規模要件が6年10月から緩和され、現行の従業員数100人超の規模が50人超へと拡大することに対応。6年10月からの半年分の財政影響と4年度の交付実績を勘案し、6億3460万円と設定した。

財政が逼迫する恐れのある健保組合に対し、法定給付費所要保険料率の増加に着目して財政支援を実施する。

他方、出産・子育ての安心につながる環境整備のため、こどもにとってよりよい医療のあり方の実現や出産費用の見える化により公表される情報の活用を図るための取り組みを行う健保組合、健保連に対する財政支援として、新たに9億9000万円を措置。

具体的には、シンポジウムやセミナーの開催など、▽適切な医療のかかり方の普及啓発や医療費適正化▽産科医療機関を賢く選ぶための加入者への情報提供・周知広報▽女性の健康づくり、出産育児支援のために実施する企業と連携した効果的・先進的な保健事業─等の事業に取り組む健保組合と健保連を支援する。

4年度第2次補正予算では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、財政運営が極めて困難となった健保組合に対する財政支援として、9億9000万円を措置。

今年の5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されたが、こども・子育て対策を強化する政府方針も踏まえ、健保組合に対する財政支援を継続する。

このほか、健保組合関係助成費の概算要求は、事務費負担金(26億6022万円)と高齢者医療制度円滑運営事業費補助金の保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業(4765万円)は、いずれも前年度当初予算と同額を計上。一方、特定健康診査・保健指導補助金(28億6988万円)は過去の申請実績を踏まえ、前年度から1億5245万円増額する。

高齢者医療運営円滑化等補助金の被用者保険運営円滑化推進事業「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」は、成果連動型民間委託方式(PFS)事業の経費として、健保組合分に前年度当初予算と同額の1億7990万円を要求。

健保連向けの「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(4120万円)」と「特定保健指導等支援の共同事業(3億4858万円)」は、いずれも前年度当初予算と同額を計上した。

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