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健保ニュース 2023年3月下旬号

国民民主党が健保連にヒアリング
河本専務理事 前期報酬調整の拡大を牽制

国民民主党は9日、政務調査会第2部会(部会長・西岡秀子衆院議員)を開催し、政府が今国会に提出した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」について、健保連から意見を聴取した。

健保連の河本滋史専務理事は、全世代型社会保障の構築に向けた医療保険制度改革等について、▽現役世代の負担軽減▽世代間・世代内の負担バランスの見直し▽負担能力に応じた見直し─の観点から評価。

一方、現役世代では被用者保険者間における格差是正の観点から、前期高齢者納付金の1/3の部分に報酬水準に応じた調整が導入され、健保組合全体からみると600億円の負担増となると指摘。さらなる報酬調整の拡大は断じてあってはならないとの考えを示した。

今般の改革で被用者保険への支援として高齢者医療運営円滑化等補助金の拡充に加え、財政支援への制度化が示されたことは、被用者保険関係団体とともに、「改革により削減した公費財源を現役世代の負担軽減に全額充てるべき」と主張するなど精力的な要請活動を行ってきた成果と評価した。

他方、今回の法案に盛り込まれた「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」は、「ゴールではなく通過点に過ぎない」と言及したうえで、「まずは第一歩として、しっかり前に進めていくべき」との見方を示した。

介護保険制度改革は、給付と負担の見直しにかかる結論が先送りされたことに遺憾の意を示し、持続可能な制度の構築、現役世代の負担軽減の観点から、低所得者に配慮しつつ、より踏み込んだ見直しを早急に検討し、確実に実施するよう強く要望した。

河本専務理事の説明に対し、竹詰仁参院議員は、「改革により削減した公費財源は、現役世代の負担軽減に全額充てるべき」との主張に対する結果と、「さらなる報酬調整の拡大はあってはならない」とする主張の内容について確認した。

河本専務理事は、「トータルで公費が1200億円程度、減少するなか、拠出金負担の重い保険者に対する財政支援として拡充されたのは430億円なので、3分の1程度が還元された」と説明。

田河慶太理事は、「健保組合に対しては、前期高齢者納付金の1/3報酬調整の導入で600億円の負担増が発生する一方、高齢者負担率の見直しで290億円の負担減、財政支援で430億円が投入されたため負担増とはならない」と述べたうえで、「ただし、仮に今後、報酬調整の対象範囲が拡大すると状況が変わってしまう」と危機感を露わにした。

浜口誠参院議員は、健保連が考える介護保険制度改革の重要論点について質問した。
 河本専務理事は、「給付と負担のバランスが最大のポイント」との認識を示したうえで、「介護保険制度における自己負担2割の対象範囲をもう少し拡大する必要がある」というのが大きな主張の1つと強調。

また、被保険者の対象年齢40歳以上の引き下げについては、「そうでなくても現役世代の負担がかなり厳しいなか、こども・子育て世代にまで負担を拡大していく時期ではない」と指摘した。

ICTの活用も含め、介護全体の生産性を向上するとともに、より介護度の重い方に給付を重点化することも必要との認識を示した。

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