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健保ニュース 2023年2月上旬号

前期1/3報酬調整の導入など
厚労省が健保法等改正案の概要
かかりつけ医含む一括法案 2月上旬に国会提出

厚生労働省は1月24日の自民党・厚生労働部会(田畑裕明部会長)に、今国会への提出を予定する同省所管の「全世代型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)」の概要を提示した。前期財政調整制度における報酬調整の導入をはじめ、出産育児一時金にかかる後期高齢者医療制度からの支援金の導入や、かかりつけ医機能が発揮される制度整備などを柱として、関連する健保法、高齢者医療確保法、医療法等を一括して改正する。政府は今後、与党の法案審査で了承を得た後に改正法案を閣議決定し、2月上旬に国会へ提出する予定となっている。

予算関連法案として2月上旬に国会へ提出する「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)」は、昨年末に取りまとめた全世代型社会保障構築会議の「報告書」や社会保障審議会医療保険部会の「議論の整理」、社保審医療部会の「医療提供体制の改革に関する意見」などを踏まえた内容となっている。

健康保険法をはじめ、関連する高齢者医療確保法、国民健康保険法、医療法、介護保険法などを一括して改正する。

改正の柱として、①出産育児一時金にかかる後期高齢者医療制度からの支援金の導入(健康保険法、高確法、国保法、船員保険法)②後期高齢者医療制度における後期高齢者負担率の見直し(高確法)③前期財政調整制度における報酬調整の導入(高確法)④医療費適正化計画の実効性の確保のための見直し(高確法)⑤かかりつけ医機能が発揮される制度整備(医療法、高確法、介保法)⑥市町村による介護情報の収集・提供等にかかる事業の創設(介保法)─などを掲げた。

このうち、①は、出産育児一時金にかかる費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みを令和6年度から導入し、子育てを社会全体で支援する。

後期高齢者医療制度の支援割合を出産育児一時金の対象額の7%と設定し、6年度と7年度は出産育児一時金の全体(公費を除く)の1/2を対象額とする激変緩和措置を設ける。

②は、高齢者医療を全世代で公平に支え合う仕組みに向け、後期高齢者医療における高齢者の保険料負担割合を見直し、現役世代の負担上昇を抑制する。

第1・2号被保険者の人口比に応じて負担割合の見直しを行っている介護保険を参考に、後期高齢者1人当たり保険料と現役世代1人当たり後期高齢者支援金の伸び率が同じとなるよう、6年度から高齢者負担率の設定方法を見直す。

③は、被用者保険における負担能力に応じた格差是正の強化として、前期高齢者の給付費の調整に際し、現行の加入者数に応じた調整に加え、1/3の部分に報酬水準に応じた調整を導入する。

合わせて、現役世代の負担をできる限り抑制し、企業の賃上げ努力を促進する形で、既存の支援を見直すとともに、国費によるさらなる支援を実施。令和6年度から特例的に健保組合への支援を430億円追加する。

⑤は、▽かかりつけ医機能報告制度の創設による機能の充実・強化▽医療機能情報提供制度の刷新─を柱とし、国民・患者がそのニーズに応じて「かかりつけ医機能」を有する医療機関を選択して利用できる仕組みを整備する。

厚労省の提出予定法案は、健保法等改正案など6件。このほか「大麻取締法および麻薬および向精神薬取締法の一部を改正する法律案(仮称)」の1件は検討中、「新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案」は継続審査となっている。

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