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健保ニュース 2022年12月上旬号

自民・合同会議が健保連にヒアリング
佐野副会長施行以降の適用が大原則
産科補償見直し遡及に懸念

自民党の少子化対策調査会(衛藤晟一会長)・社会保障制度調査会(田村憲久会長)医療委員会(同委員長)の合同会議は11月21日、出産育児一時金および産科医療補償制度について、関係団体にヒアリングを実施した。対象は▽産科医療補償制度を考える親の会▽日本医療機能評価機構▽日本産婦人科医会▽健保連─の4団体。

健保連の佐野雅宏副会長は、産科医療補償制度の見直しに対し、適用範囲は施行日以降の該当者であることが大原則だと強調し、遡及適用した場合は、運営の持続安定性を大きく揺るがすことになるとの懸念を表した。

産科医療補償制度の支給対象は、▽在胎週数28週以上▽先天性や新生児期等の要因によらない脳性麻痺▽身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺─のすべての基準を満たす必要がある。

在胎週数を規定した補償対象基準に関しては、平成27年1月から令和3年12月まで、▽在胎週数32週以上かつ出生体重1400g以上▽在胎週数28週以上で低酸素状況を示す所定の要件を満たす─いずれかの出生とされていたが、周産期医療の進歩を踏まえ令和4年1月から補償対象範囲を見直した。あわせて、産科医療補償制度の掛金は、剰余金を充当し1分娩当たり0.4万円引き下げ、1.2万円としている。

この見直しを受け、民間団体や国会議員連盟においては、対象者の見直し前に出生した子どもに対する救済措置を求める声があがっていた。

佐野副会長は産科医療補償制度について、その趣旨に賛同する意向を示し、保険者として掛け金を負担する意義に理解を示した。その一方で、見直し後の要件等が適用される対象は、施行日以降に該当した者であることが大原則だと強調。同制度が保険制度をベースに設計されていることを踏まえ、遡及適用は制度存続の根幹に関わる問題で、運営の持続安定性を大きく揺るがすことになるとの懸念を表明した。

産科医療補償制度にかかる負担に関しては、遡及適用により剰余金が減少し、結果として現役世代の負担を増加させる事態を危惧。「これ以上現役世代の負担を増加させるべきではない」と強く主張した。

会議終了後、記者の取材に応じた田村会長は、「産科医療補償制度の運営費はすべて出産育児一時金で賄われ、税金が投入されていない」として、国会で決めるのではなく関係者が協議して納得できる方向を探るための場を提供したとの認識を示した。

なお、産科医療補償制度については、岸田文雄首相が今年5月の参院予算委員会で、対象者の見直し前に出生した子どもに対する救済措置を問われた。岸田首相は「遡及することの是非については、運営組織と医療保険者との協議によって定められるもの」と回答。制度内での救済は難しいとして、障害福祉サービスなどを活用して対応する考えを示している。自見はなこ氏(自民党)に対する答弁。

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