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健保ニュース 2022年7月上旬号

令和3年社会医療診療行為別統計
1件当たり点数 入院2.0%増、外来0.7%増
歯科と薬局調剤は減少に反転

厚生労働省は6月22日、「令和3年社会医療診療行為別統計」の結果を公表した。NDBに蓄積されている3年6月審査分の医科、歯科、薬局のレセプト全数を集計し、前年と比較したところ、医科診療のレセプト1件当たり点数は入院が前年比2.0%増、入院外が同0.7%増で、いずれも上昇。他方、「2年統計」で同10.7%増の歯科と同9.7%増の薬局調剤は、それぞれ同4.2%減、同6.8%減へと反転した。薬剤種類数に占める後発医薬品の割合は77.8%で同2.2ポイント上昇した。(3年統計の結果概要は以下のとおり)。

「社会医療診療行為別統計」は、医療給付の受給者にかかる診療行為の内容、傷病の状況、調剤の使用状況等を明らかにし、医療保険行政に必要な基礎資料を得ることを目的に毎年作成している。

社会保険診療報酬支払基金支部、国民健康保険団体連合会に提出され、令和3年6月審査分として審査決定された医療保険制度のレセプトのうち、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積されている全数を集計の対象とした。

医科7914万9849件、歯科1810万9591件、保険薬局5096万6149件のレセプトを集計。集計対象の「レセプト件数」は、新型コロナウイルス感染症の影響で19.3%減少した前年に比べ16.5%増加(医科入院7.9%増、医科入院外16.3%増、歯科28.2%増、薬局調剤13.5%増)した。

他方、「レセプト日数(薬局調剤は受付回数)」は同13.8%増(医科入院2.3%増、医科入院外16.1%増、歯科19.6%増、薬局調剤13.5%増)、「レセプト点数」は同12.6%増(同10.1%増、同17.1%増、同22.9%増、同5.7%増)だった。

【医科診療・入院】

医科診療・入院は前年と比べてレセプト1件当たり点数が2.0%増の5万8233.9点、1日当たり点数が7.6%増の3710.2点だった。

診療行為別にみると、1件当たり点数が最も高い「入院料等」は前年比2.2%減の2万1536.3点。次いで、「診断群分類による包括評価等」が、同1.7%増の1万7161.7点となっている。

診療行為別の1日当たり点数は「入院料等」、「診断群分類による包括評価等」、「手術」、「リハビリテーション」の順に高かった。

1日当たり点数の構成割合は、「入院料等」が37.0%を占め最も高く、次いで、「診断群分類による包括評価等」(29.5%)、「手術」(17.3%)と続く。

「手術」(1件当たり点数前年比13.8%増、1日当たり点数前年比20.0%増)、「麻酔」(同14.9%増、同21.2%増)、「検査」(同51.7%増、同60.0%増)は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い減少した前年の反動から大きく上昇している。

1件当たり日数は15.70日で前年から0.86日減少した。
 原則74歳までの一般医療と75歳以上の後期高齢者医療に分けると、1件当たり点数は一般5万5776.9点、後期6万580.1点で後期が4803.2点ほど高い。

1日当たり点数は一般4352.4点、後期3284.2点で一般が1068.2点高くなっている。診療行為別の構成割合でみた場合、後期は一般に比べ「入院料等」と「リハビリテーション」の割合が高く、「手術」と「診断群分類による包括評価等」が低かった。

1件当たり日数は一般12.82日、後期18.45日で、後期が6日程度長くなっている。
 病院と診療所に分けると、1件当たり点数は病院6万72.9点、診療所2万1225.4点で、病院が2.8倍高い。

1日当たり点数は病院3744.7点、診療所2432.9点で、病院が1.5倍高かった。病院を種類別でみると、「特定機能病院」が8036.9点で最も高く、「精神科病院」が1416.9点で最も低い。

1件当たり日数は病院16.04日、診療所8.72日で、病院が7日程度長かった。病院を種類別でみると、「療養病床を有する病院」(21.83日)、「一般病院」(11.91日)となっている。

DPC/PDPSにもとづく入院1日当たり定額レセプトと、それ以外の入院レセプトを比較すると、1件当たり点数はDPC/PDPSが前年に比べ0.8%増の6万7190.9点、それ以外が同1.9%増の5万830.6点で、それぞれ増加した。

1日当たり点数はDPC/PDPSが同6.4%増の6640.7点、それ以外が同5.2%増の2503.3点と、いずれも大幅に増加。診療行為別の構成割合は、DPC/PDPSで「診断群分類による包括評価等」が56.4%、それ以外で「入院料等」が71.8%と最も多くを占めた。

1件当たり日数はDPC/PDPS10.12日、それ以外20.31日で、それ以外が10日以上長かった。

【医科診療・入院外】

医科診療・入院外は、前年に比べて1件当たり点数が0.7%増の1455.0点、1日当たり点数が0.9%増の987.8点で、それぞれ上昇した。

診療行為別にみると、1件当たり点数で最も高いのは「検査」で前年から13.9%増の275.2点、次いで、「初・再診」が同7.7%増の195.0点、「投薬」が同11.7%減の191.5点だった。

1日当たりの点数が最も高かったのは「検査」の186.9点(前年比14.2%増)で、全体の18.9%を占めた。次いで、「初・再診」が132.4点(同8.0%増)で全体の13.4%、「投薬」が130点(同11.5%減)で全体の13.2%を占める。

厚労省は、「初・再診」の1件当たり点数と1日当たり点数の上昇について、令和3年4月から9月末までの半年間、必要な感染予防策を講じた医療機関に対し、1回5点を上乗せして算定することを認めた「医科外来等感染症対策実施加算」が影響したと説明。

1件当たり日数は1.47日で前年に比べ0.00日減少した。
 入院外を一般医療と後期医療に分けると、1件当たり点数が一般1341.3点に対し後期1742.0点、1日当たり点数が一般956.7点に対し後期1054.5点だった。1件当たり点数と1日当たり点数のいずれも後期が一般を上回る。診療行為別に構成割合をみると、後期は一般より「在宅医療」が高く、「初・再診」が低い。

1件当たり日数は一般1.40日、後期1.65日で、後期が0.25日長くなっている。
 病院と診療所で比較すると、1件当たり点数は病院2622.0点、診療所1091.3点、1日当たり点数は病院1794.6点、診療所739.1点で、それぞれ病院が2.4倍高かった。

病院を種類別でみると、1日当たり点数が最も高かったのは「特定機能病院」で3413.9点、最も低かったのは「精神科病院」で873.3点となる。診療行為別の構成割合をみると、診療所は病院より「初・再診」と「医学管理等」が高く、「注射」と「画像診断」が低い。

1件当たり日数は病院1.46日、診療所1.48日で、大きな差はなかった。

【院外処方】

医科の入院外における処方件数をベースにした院外処方率は、78.3%で前年を1.0ポイント上回った。
 病院は前年に比べ0.3ポイント増の81.1%、診療所は同1.2ポイント増の77.6%にそれぞれ上昇した。

【歯科診療】

歯科診療の1件当たり点数は前年比4.2%減の1272.3点、1日当たり点数は同2.7%増の778.0点だった。

診療行為別の1件当たり点数は、最も点数が高い「歯冠修復および欠損補綴」が同10.8%減の412.6点に減少。診療行為別の1日当たり点数は、「歯冠修復及び欠損補綴」が同4.4%減の252.3点で最も高く、構成割合が32.4%と全体の約3分の1を占める。

次いで、「処置」が同5.8%増の159.7点(構成割合20.5%)、「医学管理等」が同12.5%増の109.0点(同14.0%)、「初・再診」が同5.1%増の102.1点(同13.1%)と続く。1件当たり日数は1.64日で前年に比べ0.12日減少している。

一般医療と後期医療に分けると、1件当たり点数が一般1237.6点に対して後期1424.7点、1日当たり点数が一般771.1点、後期805.6点で、いずれも後期が一般を上回った。

年齢階層別にみると、後期の75歳以上が1件当たり点数1421.8点、1日当たり点数804.1点で、ともに最も高く、一般の0~14歳が1件当たり点数932.2点、1日当たり点数747.2点で、それぞれ最も低くなっている。

診療行為別の1日当たり点数の構成割合を一般と比較すると、後期は「在宅医療」と「歯冠修復および欠損補綴」の割合が高い一方、「初・再診」と「処置」が低い。1件当たり日数は一般1.60日、後期1.77日で前年(一般1.73日、後期1.83日)からいずれも減少した。

【薬局調剤】

薬局調剤の1件当たり点数は1099.5点で、前年比6.8%減少した。処方せん受付1回当たり点数は同6.8%減の928.9点だった。

調剤行為別にみると、「薬剤料」が1件当たり点数同9.8%減、受付1回当たり点数同9.8%減とそれぞれ大幅に低下。他方、「調剤技術料」は1件当たり同2.5%増、処方せん受付1回当たり同2.5%増と上昇した。

受付1回当たり点数の構成割合は、「薬剤料」が72.8%を占め、「調剤技術料」の21.6%を合わせると全体の約95%を占める。レセプト1件当たり処方せん受付回数は前年と同様、1.18回だった。

一般医療と後期医療に分けると、1件当たり点数は一般998.1点に対し後期1331.4点、受付1回当たり点数は一般858.8点に対し後期1080.2点で、後期がいずれも1.3倍程度高い。

受付1回当たり点数に占める「薬剤料」の割合は一般72.1%、後期74.0%。年齢が上がるにつれて点数は高くなっている。1件当たり受付回数は一般1.16回、後期1.23回だった。

【薬剤の使用状況】

レセプト1件当たりの薬剤点数階級別件数の構成割合は、「500点未満」が院内処方71.7%、院外処方64.1%と、いずれも7割程度を占める。

年齢が高くなるほど「500点未満」の割合が低下し、75歳以上では「500点未満」の割合が院内62.0%、院外51.8%まで落ち込む。

1件当たり薬剤種類数別件数の構成割合は、「1種類」が院内(27.2%)、院外(22.1%)と最も高く、平均すると院内は3.27種類、院外は3.69種類となる。年齢階級ごとにみた場合、院内・院外とも75歳以上で「7種類以上」の割合が2割程度を占めた。

薬効分類別点数の構成割合は、医科入院の場合、「腫瘍用薬」が28.1%で最も高い。医科入院外で最も高い割合を占めたのは、院内処方が「腫瘍用薬」で22.8%、院外処方が「その他の代謝性医薬品」で16.8%となる。

後発医薬品は、薬剤点数に占める割合が前年から1.5ポイント伸びて19.5%(一般医療18.6%、後期医療21.0%)となった。

このうち入院が同0.1ポイント減の14.4%、入院外の院内処方が同0.8ポイント増の16.8%、院外処方が同1.6ポイント増の20.1%で、入院を除き上昇。病院は14.1%、診療所は24.6%だった。

後発品のない先発品を除いた薬剤種類数に占める後発品の割合は77.8%で前年から2.2ポイント上昇した。

このうち入院は同1.8ポイント増の74.3%、入院外の院内処方が同1.5ポイント増の67.0%、院外処方が同2.2ポイント増の80.4%で、院外処方の伸び幅が大きい。病院は79.0%、診療所は77.4%だった。

薬効分類別点数の構成割合をみると、入院で「抗生物質製剤(24.3%)」、院内処方と院外処方は「循環器官用薬(院内25.0%、院外26.5%)」が最も高くなっている。

このほか、医科と薬局調剤を合算した総点数に占める薬剤料の割合のうち、入院は前年から0.1ポイント減の9.0%、入院外が同3.4ポイント減の40.1%で、入院は「投薬(2.3%)」より「注射(6.0%)」、入院外は「注射(10.0%)」より「投薬(28.4%)」の比率が高かった。

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