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健保ニュース 2022年6月中旬号

柔整療養費WEBセミナー
償還払いへの変更テーマに開催

健保連は5月30日、柔道整復療養費における「患者ごとに償還払いに変更できる仕組み」の導入の経緯および事務取扱、令和4年度料金改定の内容などに関するWEBセミナーを開催した。このなかで、健保連本部として、今回は償還払いへ変更の対象となる患者が限定的になったものの、制度創設後初めて受領委任払い制度の中に「償還払い」の仕組みが組み込まれ、療養費の適正化に向けた非常に重要な改正であることから、多くの健保組合に取り組みを検討するよう理解と協力を求めた。

患者ごとに償還払いに変更できる取り扱いについては、2月24日に開催された社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会で、導入が決定。その取り扱いに関する内容は、3月に受領委任規程に協定・契約事項として規定された。

セミナーのなかで健保連は、この仕組みの導入を希望する健保組合については、保険者の裁量となる特定の患者の認定基準や手続きなどについて事務要領を作成し、組合会で審議のうえ、承認を得ることが必要となる。そのうえで、仕組みに関する加入者への周知を図れば、患者ごとに償還払いへの変更を実施する体制が整うと説明した。

償還払いへ変更する認定基準については、各医療保険者にその決定が委ねられているため、業務に携わる職員や対象となる患者ごとに偏ることなく一律に判断できるよう、事務要領にあらかじめ記載するとともに、その内容を事前に加入者に周知することと通知されている。

検討専門委員会において、償還払いへ変更できる患者は、①自己施術(柔道整復師による自身に対する施術)、②自家施術(柔道整復師による家族等に対する施術)、③保険者等が照会内容で繰り返し行っても回答しない患者、④複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者─の4つを対象とした。

このうち③については、対象とした合理的理由として、保険者から患者照会を行っても回答がない場合、施術の事実確認ができず、療養費の適正な支給に支障が生じることをあげている。この場合、保険者が再照会を行ってもさらに回答がない場合は、償還払いへの手続きに着手できると例示している。その後、患者と施術管理者へ「償還払い注意喚起通知」と3回目の患者照会にあたる「再々照会文書」を送付。回答がない場合、電話・面会・メールなどを通じて照会に回答しない理由や施術内容・負傷原因などの説明を求め、それでも回答がない場合は、患者と施術管理者へ「償還払い変更通知」を送付することとしている。

また④については、対象とした合理的理由を施術が療養上必要な範囲及び限度で行われず、濃厚な施術となっている恐れがあるためとしている。同一患者の施術において2つ以上の施術所から同部位への施術の療養費申請が行われた場合を変更の認定基準とし、その基準を超えた患者について、患者とそれぞれの施術管理者へ、「償還払い注意喚起通知」を送付するとともに患者照会を実施する。その後も複数の施術所から療養費請求が行われた場合、施術内容や回数、重複受療の理由などの説明を患者に文書などで照会する。それでもなお、照会にも応じず、理解が得られずに重複受療を継続した場合、患者とそれぞれの施術管理者へ「償還払い変更通知」を送付する取り扱いとしている。

償還払いへ変更できる患者について、当初、検討専門委員会では「非常に長期にわたり、かつ、非常に頻度が高い施術を受けている患者」についても含めて議論していたものの、議論の終盤で対象から外れ、次期改定にその結論を先送りした。こうした状況を踏まえ健保連は、次期改定で対象患者の拡大を目指すうえでも、今回決定された新たな仕組みを適切な形で実績を積み上げることが重要であるとの考えを示し、健保組合に理解と協力を求めた。

一方で、償還払いに変更後、柔整療養費の支給要件と受領委任払いについて患者の理解が進み、患者照会への回答を遅延なく提出することを同意書で取り交わすなどの改善が図られた場合には、受領委任払いを再開するよう推奨した。

この他、柔整療養費の支給決定業務については、通知の送付や電話での確認、文書の作成といった単純な事務は、点検事業者に委託が可能だが、支給決定など判断が伴う患者への聞き取りなどの業務は保険者が行うよう求めた。

なお、償還払いに関して特筆すべき事項として、「明細書の義務化」対象が大幅に後退したことに対し、今後の対象拡大に向けた検討状況等を踏まえ、「令和6年度改定において、保険者による受領委任払いの終了手続きを含めた取り扱い(保険者単位の償還払いへの変更)についても検討し結論を得る」と合意されたことが報告された。

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