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健保ニュース 2022年3月中旬号

柔整療養費の長期・頻回患者
償還払い変更の対象外
幸野理事 再考を強く求める

厚生労働省は、2月24日に開催された社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部長)で、前回に引き続き償還払いに変更できる対象患者の案を示したが、これまで範囲に含め検討していた「長期・頻回の施術患者」については、対象から外す方針を提示した。当初の案よりも大きく後退した内容となったため、健保連の幸野庄司理事は、対象に加えるよう改めて要求。議論の結果、同省が示した方針で実施されることとなった。

厚労省は、柔整療養費の適正化に関し、「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」(平成24年3月12日保医発0312第1号、保保発0312第1号、保国発0312第1号、保後発0312第1号)において、「3部位以上負傷の申請書、3ヶ月を超える長期継続(4ヶ月目以降)の申請書又は施術回数が頻回傾向(1月あたり10~15回以上が継続する傾向がある場合)の申請書に対して、文書照会や聞き取り等を実施するなど、施術の状況等を確認し支給の適正化に努められたいこと」との通知を発出し、健保組合など保険者に柔整療養費の適正化に向けた取り組みの強化を求めている。

さらに前回の専門委員会では、柔整療養費などの施術内容を調査した「令和2年度療養費等頻度調査」の結果が提出され、施術月数の長期化や施術通院回数の頻回が明らかにされていた。

幸野理事は、こうした調査結果をもとに、前回の専門委員会で3か月を超え月10回以上の施術が継続している長期・頻回の施術患者について、償還払いに戻す対象に加えていたのに、この日提示された案では対象から外れたことに承服できないと発言。対象から外した理由について、厚労省に問い質した。厚労省は、前回の専門委員会で施術側委員から、患者の症状・経過は様々であり、一律の期間や回数で償還払いに変更することは適切ではないとの発言があったこと、引き続きデータの分析を行うことを理由にあげ、今回の提案に理解を求めた。

これに対し幸野理事は、3か月を超え月10回以上の施術が継続している患者を一律にかつ即座に償還払いにするのではなく、保険者は施術所に今後の治療計画などを照会しつつ患者には症状を確認しながら、保険者が償還払いに戻す必要性を見出した時に実施するもので、必要な施術を排除するというものではないと指摘。改めて対象に加えるよう強く求めた。

吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も、幸野理事の意見に賛同。「協会けんぽでは、現在、長期・頻回の施術患者に対して疑義照会し、内容を判断したうえで疑義が深ければ柔整審査会に諮り、その支給が妥当かどうか判断している。これまでに提案された内容は、そうした疑義のある内容のものを不支給ではなく償還払いにするというもので、杓子定規で運用するというものではない」と発言し、この日に提案のあった内容の変更を求めた。

さらに幸野理事は、「実効性のある仕組みにしなければ、今後、保険者裁量とすることを可能とする制度改正を求める健保組合が増えてくる。今回、長期・頻回の施術患者を償還払いへ変更する対象に加えないのであれば、期限を決めて、継続的に検討すべき」と同省に求めた。

議論の結果、同省が示した方針で実施されることとなったが、長期・頻回の施術患者の取り扱いなどについては、座長一任となり、今後、あらためて示されることとなった。

審査支払機関の審査は健保法第87条の遵守前提

またこの日の専門委員会では、審査支払機関における柔整療養費の審査支払の可能性について、社会保険診療報酬支払基金、国保中央会からヒアリングを行った。

このなかで説明に立った支払基金の須田俊孝理事長特任補佐は、①柔整療養費の請求受付・支払業務に関しては、現在、医療機関等とオンラインでやりとりしている基盤を活用できる余地がある②柔整療養費の審査業務については、そのノウハウがなく、さらに都道府県ごとの事務局機能は極めて小規模なものに縮小されることから、紙を前提とした審査業務を担うことは極めて困難─との考えを示した。

そのうえで、柔整療養費についてはオンラインによる請求を実現したうえで、コンピュータチェックにより審査を完結させるといったICTを活用した仕組みを構築すれば、その可能性があるとの見通しを明らかにした。

また国保中央会の中野透常務理事も同様に、柔整療養費の審査支払については、オンライン請求以外の請求方法を残さないことが前提との考えを示した。

幸野理事は、審査支払機関における柔整療養費の審査支払を検討するにあたっては、健康保険法第87条の遵守が前提と指摘。同法第87条では療養費の取り扱いについて、保険者が療養の給付の補完としてやむを得ないと認めた時に支給決定することとなっているが、今回の提案内容は、効率性を求め、保険者による支給決定や過誤調整の取り扱いに関して療養の給付と同様の業務処理とする案が示されており、こうした方針のもと議論が進むことに危惧の念を抱いているとの認識を示した。さらに、同法第87条を逸脱した柔整療養費の審査支払の仕組みが構築された場合や、費用対効果が見込まれないようであれば、健保組合は審査支払機関に委託することは難しいとの考えを示した。

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