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健保ニュース 2022年3月中旬号

健保連総会
「次なる改革」実現など最重点
令和4年度事業計画

健保連は2月17日に予定していた第213回総会を新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から書面審議で行い、令和4年度事業計画などの議案をいずれも原案どおり了承した。議決日は同月25日。

事業計画の最重点事業項目には、①次なる改革に向けた健保組合・健保連の主張実現活動の継続②優れた保険者機能を発揮できる健保組合方式の維持・発展に向けた支援策の推進③事業の検討・見直し─の3点をあげた。

事業計画の基本方針では、健保組合を取り巻く環境について、高齢者医療への拠出金の増加と支え手である現役世代の減少により、極めて厳しい状況が続いていると指摘。団塊の世代が後期高齢者に移行し始める4年度から、すべて後期高齢者となる7年度にかけて、拠出金が急増するという構造的な問題は依然、解消されていないと問題視し、将来にわたり皆保険制度を維持するための〝次なる改革〟に早急に着手する必要性を強調している。

こうした観点から、最重点事業項目の①は、昨年10月に取りまとめた健保組合・健保連の提言「安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて」を実現するための要請活動を展開する。

提言内容は、コロナ禍を通じて明らかになった課題と対応に焦点を当て、入院・外来の医療提供体制の硬直性・脆弱性、医療資源の散在などの問題が顕在化したとして、「安全・安心」で「必要な時に必要な医療にアクセスできる」体制を堅持することが最も重要との考えを示した。

このため、国民が身近で信頼できる「かかりつけ医」の推進と、外来の機能分化・連携、強化を図る「かかりつけ医制度」の構築を重視。4年度には国の検討会でかかりつけ医機能に関する審議が予定されているとして、かかりつけ医の要件(機能)の法令等での明確化、国民への情報提供・開示の強化などの必要性を提言し、その実行を求める。

入院医療体制の強化のための地域医療構想の着実な推進や、医療の重点化・効率化のための保険給付範囲の見直しなども引き続き主張していく。

さらに、提言は、社会情勢の変化に応じた課題と対応として、国民皆保険制度の持続可能性を高める観点から、医療費の増加を抑制するとともに、現役世代に過度に依存する制度から全世代で支え合う制度への転換が必要と指摘した。

具体的には、医療費適正化計画の取り組み強化や市販品類似薬の保険給付範囲からの除外など医療の重点化・効率化を推進。また、後期高齢者の保険料負担割合(現行=給付率の11%)の見直し、窓口負担の原則2割化、現役並み所得者の対象範囲拡大と給付費への公費投入、拠出金負担の上限設定、前期高齢者財政調整の見直しなど高齢者医療を中心とする改革の必要性を訴える。

社会保険診療報酬支払基金の抜本改革に向けた対応も取り上げ、4年度の導入が延期された手数料の階層化は保険者の負担増とならない形での実現をめざし、5年度導入に向けた協議を進める。

②優れた保険者機能を発揮できる健保組合方式の維持・発展に向けた支援策の推進は、▽生活習慣病予防事業への支援および第4期特定健診・保健指導見直しへの対応▽健保組合の「レセプト管理・分析システム」を共通基盤としたデータヘルス計画およびコラボヘルスのための健診・医療費分析の支援▽健保組合が果たしている価値の向上に向けた役職員のスキルアップを目的とする事業の実施─などに取り組む。

③事業の検討・見直しでは、交付金交付事業の課題である▽事業の目的・趣旨、枠組み(法定事業としての位置づけ、財源)▽長期多数回該当組合への交付▽ヒアリングのあり方・実施方法▽サポート事業のあり方・支援の方法・評価─について、3年度末の中間整理を踏まえて、4年度以降、取りまとめに向けて検討する。

また、コロナ禍や今後の自然災害、感染症拡大など非常時でも可能な限り会員組合サービスを維持するため、健保連本部施設再構築も見据えたBCP(事業継続計画)の策定を検討する。

このほか、主な継続事業には、医療費適正化対策の推進、診療報酬・介護報酬の適正化の推進と効率的・効果的な医療体制の構築に向けた活動、保健事業関連施策の推進など8項目をあげた。

4年度予算など20議案を了承

健保連の総会は、4年度の事業計画や一般会計収入支出予算、交付金交付事業など20議案を了承した。

一般会計予算は、37億4876万円で、このうち会費収入が27億4890万円を占める。
 健保組合の代理として健保連が支払基金と取り決める、社会保障・税番号制度の中間サーバー等情報連携事務およびオンライン資格確認等事務に関する4年度契約については、3月のICT委員会と理事会の承認を経て締結する。

主な契約内容のうち、情報連携事務およびオンライン資格確認等事務に要する運営負担金の額について、加入者1人当たり月額単価が予算編成通知では1.95円となっているが、医療情報の追加分(約0.05円)の取り扱いを協議中であり、3月の理事会の協議結果にもとづき提案する予定とした。

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