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健保ニュース 2021年7月中旬号

外来機能報告WGが初会合
重点外来など詳細設計を検討
年内に一定の取りまとめ

先の通常国会で成立した改正医療法による外来機能報告制度の令和4年度施行に向けて、厚生労働省の「外来機能報告等に関するワーキンググループ」(座長・尾形裕也九州大学名誉教授)は7日、初会合を開いた。外来機能報告の報告内容や、医療資源を重点的に活用する外来(重点外来)の機能、重点外来を地域で基幹的に担う医療機関(重点外来医療機関)の基準、呼称など制度の詳細設計を検討し、年内に一定の取りまとめを行う。

外来機能報告制度の創設の趣旨は、患者に大病院志向があるなかで、かかりつけ医の機能強化と合わせて、地域ごとに紹介患者中心の重点外来医療機関を位置づけるなどして、外来機能の明確化・連携を進める。これにより、患者の流れが円滑となり、病院の外来患者の待ち時間の短縮や病院勤務医の外来負担の軽減、医師の働き方改革に広く寄与することが期待されている。

同制度の枠組みは、入院医療における病床機能報告制度を参考に、一般病床または療養病床を持つ病院、診療所の管理者に対し外来機能のうち重点外来の実施状況を都道府県に報告することを義務づける。このなかで、自院で重点外来を地域で基幹的に担う意向がある場合は(手上げで)その旨を報告する。無床診療所は任意で報告できる。

都道府県への報告に際しては、病床機能報告と同様、医療機関の事務を極力簡素化する観点から、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)を活用し、国から医療機関に実施状況データを提供する。医療機関は国から提供されるNDBデータを確認して報告するのが基本となる。このほか、NDBで把握できない項目として、重点外来医療機関となる意向、さらに紹介・逆紹介を推進する観点からの紹介・逆紹介率などの報告も今後検討する。

これら医療機関からの報告を踏まえ、地域における「協議の場」で各医療機関の自主的な取り組みの進捗状況を共有しつつ、外来医療に関しての必要な調整を行う。

重点外来の基本的な機能は、①入院前後の外来(がん手術の入院患者の術前の説明・検査、術後のフォローアップなど)②高額等の医療機器・設備を必要とする外来(外来化学療法など)③特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来など)─の3つの類型が考えられている。そのうえで、重点外来医療機関の明確化について、①~③の割合など国が示す基準を参考にして、地域の「協議の場」で確認して決定する。

外来機能報告制度の進め方は、毎年度行われる病床機能報告と同じサイクルで回していく方針で、初回は、4年秋をメドに国からNDBデータを医療機関に提供し、医療機関が都道府県に外来機能を報告。これを踏まえて、「協議の場」で4年度末までに重点外来医療機関を決定するスケジュールが想定されている。

厚労省がこの日の会合で示した同WGでの検討事項は、▽重点外来に該当する外来の項目▽外来機能の報告事項▽地域における「協議の場」の協議スケジュール、進め方など▽重点外来医療機関の基準や呼称▽紹介・逆紹介の推進、診療科ごとの外来分析─など。今後、紹介・逆紹介率の状況を把握するためのアンケート調査を実施する予定で、次回会合で外来機能報告や重点外来の中身と合わせて、調査内容などを検討する。

幸野理事 「協議の場」に実効性を

同WGは、「第8次医療計画等に関する検討会」の下に設置され、年内に病床機能報告の詳細設計に関しての取りまとめを行った後に、外来医療計画ガイドラインの改正に向けた検討の場に改組される。

同WGの構成員である健保連の幸野庄司理事は、自院が国の基準を満たしても重点外来医療機関に手を挙げないことも想定されるとして、外来機能の明確化・連携が進むよう「協議の場」を実効性のある会議体とする必要性を指摘した。

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