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健保ニュース 2021年7月上旬号

中医協が2年度入院調査結果を承認
「必要度Ⅱ」など両側が論戦
幸野理事 次期改定へ精緻な分析を

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の診療報酬基本問題小委員会は6月23日、入院医療等の調査・評価分科会から、令和2年度調査の結果速報について報告を受けた。

2年度の診療報酬改定で見直された一般病棟入院基本料等における「重症度、医療・看護必要度」の判定基準や評価項目、今年9月末まで2年度改定の経過措置が延長されている回復期リハビリテーション病棟入院料の実績指数に対し、支払側と診療側で論戦が行われた。

2年度調査は、一般病棟入院基本料等や地域包括ケア・回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料など6項目について実施した。

このうち、一般病棟入院基本料の「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」の該当患者割合は、急性期一般入院料5を除き、2年度改定後の方が高い傾向にあった。

新型コロナウイルス感染症患者の受入有無による重症度、医療・看護必要度の各基準を満たす患者の割合をみると、基準①は、「必要度Ⅰ」は「受入なし」、「必要度Ⅱ」は「受入あり」で高かった。

一方、基準②は、「必要度Ⅰ」は「受入あり」、「必要度Ⅱ」は「受入なし」で高くなっている。基準③は、「必要度Ⅰ・Ⅱ」とも「受入あり」の方が基準を満たす患者の割合は低かった。

他方、回復期リハビリテーション病棟入院料別の実績指数は、▽入院料1(2年50.9%、元年46.6%)▽同2(同37.2%、同33.1%)▽同3(同46.0%、同41.6%)▽同4(同30.7%、同27.5%)▽同5(同46.0%、同39.3%)▽同6(同34.6%、同23.1%)─で、いずれの入院料とも改定後の方が高くなっている。

健保連の幸野庄司理事は、一般病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度Ⅱの該当患者割合が高い傾向にあることについて、2年度改定の判定基準や評価項目見直しの影響で上振れしたのか、新型コロナの影響で患者像が変化したのかなど、「精緻な要因分析が必要」と問題提起。

重症度、医療・看護必要度の評価項目(Aモニタリングおよび処置等、B患者の状態等、C手術等の医学的状況)を見直した影響のほか、判定基準である①(A2点以上かつB3点以上)、②(A3点以上)、③(C1点以上)における該当患者の分布を提示するよう求めた。

回復期リハビリテーション病棟入院料における実績指数については、各入院料とも2年度改定後に高い傾向にあると指摘し、「2年度改定の経過措置を延長する取り扱いが必要だったのか疑問」との考えを示した。

これに対し、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、新型コロナによって、平時の医療を制限した影響や患者の受療行動が変化した影響を受けていると主張し、「今回の調査結果だけで断定的に判断するのは早計であり、2年度改定の検証が可能かどうかは引き続き検討が必要」とした。

重症度、医療・看護必要度Ⅱの方が高い患者割合となっているとの指摘については、「必ずしも一概には言えない」と反論。平時なら特定機能病院で引き受ける患者を後方病床として引き受けた医療機関は必要度が上昇したケースも考えられると指摘し、慎重な検討を求めた。

回復期リハビリテーション病棟入院料については、コロナ患者の受入有無にかかわらず、2年度改定後の実績指数を満たせない医療機関が一定程度みられるとし、「経過措置の延長は、中医協として適切な判断だったと考える」と強調した。

厚労省は、今後どのような分析を行うかは、次期改定に向けた中医協における議論のなかで、個別に相談しながら検討を進めていくとの意向を示した。

2年度調査結果については、その後に開催された総会で承認された。

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