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健保ニュース 2021年6月上旬号

次期改定に向けた医療経済実態調査
中医協 3年6月調査を追加実施
直近の状況把握へ意義変更

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は5月26日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けた「医療経済実態調査(実調)」について、「単月調査」を追加実施することを決めた。

元年度と2年度の2事業年度分に加え、3年6月の医療機関等の損益状況を元年、2年の同月と比較し、直近の経営状況を把握する。新型コロナウイルス感染症禍における2年度改定の影響把握を主眼とした当初の「単月調査」の実施意義を変更した。

支払、診療側とも「単月調査」の実施を了承したが、調査結果の分析については慎重な対応を求める意見が多勢を占めた。

この日の会合では、厚生労働省が「単月調査」にかかるこれまでの議論と新型コロナの発生状況を説明したうえで、「単月調査」の実施を提案した。

「単月調査」は、2月10日の中医協総会で厚労省が、元年、2年、3年のいずれかの月について、収益項目と費用項目をできる限り簡素化したうえで追加調査を実施することを提案。

2年度改定の影響を把握する観点から、新型コロナの影響が少ないと思われる月単位の損益状況の把握を主眼とし、今後の新型コロナの発生状況を踏まえ、春頃を目途に実施の可否を決定することとしていた。

新型コロナの発生状況では、直近の陽性者数や入院医療等を要する者、2年4月から3年2月における医療機関の収入状況などが示された。

3年2月の診療種類別総点数は、前年同月と比較し、医科3.8%減、歯科0.1%減、調剤4.8%減で、総計3.7%減少。3年2月の医科診療所・診療科別レセプト点数をみると、小児科(前年同月比17.7%減)、外科(同14.0%減)、耳鼻咽喉科(同13.5%減)の減少が顕著だった。

そのうえで、厚労省は、新型コロナは依然として収束しておらず、医療機関を取り巻く状況が日々大きく変化しているなか、直近2事業年度分に加え、「できる限り直近のデータを把握することに意義があると考えられる」と問題提起。

直近の3年6月の損益状況と、その比較対象である元年6月、2年6月の損益状況を把握するための「単月調査」を追加実施することを提案した。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「重症者数は過去最多を更新するなど、医療提供体制は各地で厳しい状況が続いている」と指摘したうえで、「このようななか、直近のデータを見ることは必要」との考えを示し、厚労省の提案を了解した。

一方、今回のスケジュールでは、「適切に回答できる施設は限られる」と言及し、調査結果の分析と解釈に十分注意を払う必要があると強調した。

診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、提案に賛同したうえで、単月調査を実施する意義が2年度改定の影響把握から直近の状況把握へと変更された可否を確認。

厚労省は、「新型コロナの感染状況が落ち着かない状況のなか、単月調査を実施する意義は直近の状況把握に大きく傾いた」との認識を示した。

健保連の幸野庄司理事は、「単月調査の実施に異論はない」と述べたうえで、新型コロナの感染状況が悪化しているなか、「直近の状況をまず知るという位置づけで単月調査を実施するべき」と主張した。

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