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健保ニュース 2021年5月下旬号

セルフメディケーション税制見直し
厚労省検討会 対象薬の拡大範囲を決定
耳鼻科用剤など4薬効を追加

厚生労働省の「セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」(菅原琢磨座長)は20日、来年1月から対象を拡大するセルフメディケーション税制の医薬品の具体的な範囲を決めた。

国民の有訴者数が多い3症状に対応する非スイッチOTC薬の4薬効を同税制の対象に追加する一方、医療費適正化効果などが低いと考えられるスイッチOTC薬の4成分を令和8年1月1日より対象から除外する。

この見直しで同税制の対象品目は大きく増加。厚労省は今後、追加・除外対象となる有効成分の告示作業に着手する。

セルフメディケーション税制の対象薬の範囲は、前回検討会で、「腰痛、関節痛、肩こり」、「風邪の諸症状」、「アレルギーの諸症状」、「胃腸の諸症状」の4症状が追加候補とされた。

一方、3年度税制改正大綱で、症状ではなく薬効から「3つ程度」を選定するとされていることから、症状に対応する薬効を対象に検討を進めた。

この日の会合では、厚労省が、セルフメディケーション税制の対象薬に追加する薬効として、①鎮痛・消炎剤②解熱鎮痛消炎剤③鎮咳去痰剤④耳鼻科用剤─を提案した。

4つの薬効のうち、①は「腰痛、関節痛、肩こり」、②と③は「風邪の諸症状」、④は「アレルギーの諸症状」に対応。4薬効の対象追加で、同様または類似成分を含む薬効の「鎮咳剤」、「総合感冒剤」、「抗ヒスタミン剤」、「その他アレルギー用薬」も副次的に対象となる。

一方、既に同税制の対象となっているスイッチOTCのうち、▽強心剤のユビデカレノン▽ビタミン剤のメコバラミン▽カルシウム剤のL-アスパラギン酸カルシウム▽含嗽剤のフッ化ナトリウム─の薬効に属する4成分は安全性や医療費適正化効果の観点から、4年間の経過措置を設けたうえで除外する。

健保連の幸野庄司理事は、医療費適正化効果が大きい「胃腸の諸症状」に対応する薬効が追加されなかったことは残念と述べたうえで、今後の効果検証の結果を踏まえつつ、継続課題として検討するよう要望した。

このほか、厚労省は、この日の会合に、今後の検討事項に位置づけた①セルフメディケーション税制の効果検証②税制以外の施策のあり方─に対する論点と対応方針を示した。

このうち、①は、▽税制による医療費適正化効果をどう定義するか▽適当な効果検証の指標および検証方法─を論点として提示。これに対し、3年度厚生労働科学特別研究事業で、「セルフメディケーション税制による医療費適正化効果についての研究」を実施し、税制の利用による医療費削減効果の検証手法などを議論していくとした。

また、②は、▽国民にセルフケアを前提としたセルフメディケーションの適切な実施を促すための税制以外の有効施策▽各ステークホルダーの連携や関わり方─を論点とし、今後、関係部局が実施する関連施策の状況を報告するほか、今年4月に新設した「セルフケア・セルフメディケーション推進室」が司令塔機能として施策パッケージの策定を行っていくとした。

幸野理事は、厚労省が部局横断的に税制以外の施策を推進することが重要との認識を示し、保険局に対しては、国民が医療機関を受診する前にまずは薬局に相談する受療行動へと変容するよう、かかりつけ薬局にOTC薬の設置を要件化するなどの検討が必要とした。

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