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健保ニュース 2021年3月中旬号

支払基金・3年度事業計画
9月から新システムを稼働
審査事務集約化へ改革推進

社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)は2月25日の記者会見で、令和3年度の事業計画と収入支出予算を発表した。

事業計画は、審査事務集約化計画工程表(2年3月決定)に沿って、4年10月に全国14か所の拠点へ審査事務を集約することから、各拠点の事務所の設置場所や業務内容など改革の「具体像を彫る年」と位置づけ、審査事務集約後の組織体制に応じた人事制度や審査事務体制等の詳細を検討するなど、「集約に向けた諸準備を確実に実行していく」としている。

今年9月には審査支払新システムを稼働させ、稼働後2年以内に全レセプトの9割程度をコンピュータチェックで完結させることをめざす。新システムの稼働により審査業務の効率化とコスト削減を実現する。

9月稼働の新システムの円滑な移行への準備を行うとともに、新システムに実装するAIによる振り分け機能や自動的なレポーティング機能の稼働状況を監視し、安定化・最適化を図る。自動的なレポーティング機能による審査の見える化を図ることで、各ブロック・本部で差異事例を検討するなど、審査結果の不合理な差異解消に向けた取り組みを進める。

新システムの構築に向けては、9月の稼働に先行して1月にクラウド化や支部業務サーバの本部への一元化を実施。今年度は、受付・審査・支払の業務単位でのモジュール化(機能分解)を実施し、審査事務集約や診療報酬改定などの業務変化に柔軟に対応できる新システムの安定的な運用を図る。

これにより、4年10月の審査事務集約に向けて、他の都道府県のレセプトであっても審査事務を可能とし、また、審査委員と職員間で同時にレセプトを閲覧できる機能などを実装することで、審査委員と職員が遠隔地で連携できる条件を整備する。

9月の新システムへの移行期間中は、オンライン請求システムや特定健診・保健指導システムが利用不可となることから、診療担当団体、保険者団体などのネットワーク利用関係団体に十分に周知する。

AIによるレセプト振り分け機能の実装では、過去の審査結果にもとづき、人による審査を必要とするレセプト、人の審査を要しないレセプトに振り分け、新システム稼働時に人による審査レセプトを2割程度とし、稼働後2年以内にレセプト全体の9割程度をコンピュータチェックで完結する。

9月稼働の自動的なレポーティング機能について、今年度は既に審査の取り扱いがまとまっている一般的な取り扱い28事例と審査情報提供82事例をレポーティングする。また、医学的判断については、単一ブロックのみ差異がある場合は、差異のある支部が属するブロックの診療科別ワーキンググループで、全国的に差異がある場合は、本部検討会でそれぞれ差異解消を図る。

審査結果の不合理な差異解消の取り組みは、審査事務集約後の審査事務センターで診療科別の組織を構成し、職員が複数の都道府県の審査事務を担当することで、都道府県間の審査結果の違いを速やかに把握。これを中核審査事務センターに設置する診療科別WGに報告し、調整する仕組みを構築する。

保健医療情報等の活用に関する取り組みは、データヘルス業務の本格展開に向けた体制を整備。3月下旬から始まるオンライン資格確認・特定健診情報の提供にかかるシステム整備や、10月からの薬剤・医療費情報の提供に向けた開発、今後の受託が想定されるNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)データの第三者提供など、保健医療情報の活用に関する業務を進めていく。

安定的・効率的な業務運営に向けた取り組みに関して、審査支払手数料の見直しでは、新システムに実装するレセプト振り分け機能による審査プロセスの見直しに合わせて、簡素なコンピュータチェックで完結するレセプトについては、他のレセプトとは別途の手数料を設定するなど新手数料体系を検討し、4年度からの開始をめざして保険者団体などと協議する。

一般会計714億円前年度比192億円減

支払基金は3年度一般会計収入支出予算に前年度比191.5億円減の714.3億円を計上した。

予算の大幅減の主要因は、9月の新システム稼働に伴い、システム刷新に充てるIT化推進経費積立金からの受入が111.6億円減の27.4億円としたことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響で取扱件数の減少に伴う事務費収入の減少などをあげている。

収入の9割超を占める事務費収入は、39.2億円減の674.5億円を計上。審査支払平均手数料は前年度と同額の59.9円で、取扱件数が6604万万件減の11億2643万件と見込んだ。

このうち、医療保険分の事務費収入は33億円減の547億円、取扱件数は5470万件減の9億1293万件と見込んだ。

支出のうち給与諸費は、67人の定員減(2年度4113人→3年度4046人)などを織り込み、15.1億円減の341.2億円を計上した。業務経費は、157.7億円減の235.2億円で、システム刷新経費の減少(▲111.6億円)やシステム関連経費の減少(▲19.2億円)、退職給与引当預金への繰り入れの減少(▲35.6億円)などを見込んだ。

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