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健保ニュース 2021年3月中旬号

参院予算委で医療保険改革が論点
菅首相 負担軽減の取組みを継続
浜口氏(国民) 健保連提案の政策実現を

参院予算委員会(山本順三委員長、自民)は8日、令和3年度予算案について審議し、国民民主党の浜口誠氏が、後期高齢者の窓口負担の見直しをはじめとする高齢者医療制度の抜本改革に対する菅義偉首相の認識を質問したほか、健保連が求める後期高齢者医療制度における現役並み所得者への公費投入や、拠出金負担割合の上限設定などの実現性について確認した。

菅首相は答弁のなかで、令和4年度に団塊の世代が後期高齢者に入り始めるため、現役世代の負担上昇を抑え、すべての世代が安心できる社会保障制度を構築することは、待ったなしの課題との認識を示したうえで、健康保険料からの高齢者医療に対する拠出金などの負担が増加し、現役世代の負担上昇を抑えるために、毎年薬価改定の実施と合わせ一定所得以上の後期高齢者には窓口負担2割を導入することにしたと今回の見直しの経緯を説明。持続可能な社会保障制度を実現させていくため、引き続き現役世代の負担軽減に向け総合的な検討に取り組む意向を明らかにした。(菅首相と浜口議員との質疑応答の概要は次のとおり)

浜口誠氏 現役世代の医療保険制度に対する負担状況について、平成19年度と令和元年度を比較してみると、賃金は全く増えていないのに対し、1人当たりの保険料は12年間で約12万円増えている。そのうち高齢者医療への拠出金が約半分の6万2000円増えており、現役世代の医療保険制度に対する負担が大変重くなっている。団塊の世代が後期高齢者に入り始める令和4年にかけて、さらに現役世代の負担が重くなる。現役世代の医療保険制度に対する負担軽減について、首相の考えを聞きたい。


菅義偉首相 令和4年度には団塊の世代が後期高齢者に入り始めるなかで、現役世代の負担上昇を抑えつつ、すべての世代が安心できる社会保障制度を構築することは、待ったなしの課題と認識している。このため従来からの給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、未来を担う子供からお年寄りまで、すべての人が安心できる社会保障改革を進める必要がある。指摘の通り、健康保険料からの高齢者医療に対する拠出金など現役世代負担が増えているのは事実。今回、現役世代の負担上昇を抑えるため、一定所得以上の後期高齢者には窓口負担2割をお願いすることにした。さらに、薬価については毎年改定とする改革を行ったところであり、引き続き現役世代の負担軽減に向けた対策をしっかりと行いたい。


浜口氏 今回の後期高齢者の窓口負担を1割から2割への見直しで、現役世代の負担軽減は、年間で700円から800円程度にしかならない。後期高齢者の窓口負担の見直しは一歩前進と思うが、今後の現役世代の負担を考えると、まだ道半ばで、さらなる改革が必要だと考える。


菅首相 同じ考えである。今回、75歳以上の一定所得者には窓口負担を2割にする協力をお願いしたい。現役世代の負担軽減は720億円と少ないが、毎年薬価改定の実施により、医療費で4300億円、国費で1000億円の軽減が見込まれる。今後も持続可能な社会保障制度を実現させていくため、現役世代の負担軽減を含め、総合的な検討が必要であり、この考えをもとに対応していきたい。


浜口氏 これからもさらに現役世代の負担軽減を図ることが必要だ。「2022年危機」といわれているように団塊の世代が後期高齢者に入り始め、高齢者の比率がさらに高まる。健保連からもいろいろな政策が提案されている。例えば後期高齢者医療制度における現役並み所得者への公費投入や、拠出金負担割合に50%のシーリングを設定し、超えた部分は公費で負担するなど、こういった提案をしっかりと実現していくべきだ。


菅首相 今回、後期高齢者の一定所得者には窓口負担を2割にするお願いをするが、批判がある事も事実。この問題は長年、見直しするよう言われ続けてきてきたが、改正されてこなかった。まずはできることから、ひとつずつ行っていきたいので、協力いただきたい。

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