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健保ニュース 2021年3月中旬号

重症度、医療・看護必要度の基準等
中医協 2年度改定の経過措置を再延長
次期改定論議に影響も

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は10日、総会を開催し、急性期一般入院料における重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の引き上げなど、令和2年度の診療報酬改定にかかる経過措置を3年9月30日まで再延長することを承認した。新型コロナウイルス感染症禍における医療提供体制への影響を踏まえた対応で、併せて、医療機関が入院料の基準を満たさなくなった理由などを記録した実績の届出を求め、中医協総会に報告。3年10月以降の経過措置の取り扱いについては、9月までに結論を出す。2年度改定にかかる経過措置の再延長は、5月に実施の可否を判断することとしている医療経済実態調査の単月調査をはじめ、4年度の次期改定に向けた議論に大きな影響を与えることが想定される。

令和2年度の診療報酬改定では、急性期一般入院料等における重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の引き上げや回復期リハビリテーション料における実績指数の水準引き上げ、地域包括ケア病棟入院料等における診療実績の水準引き上げなどの見直しが行われた。

いずれも、2年9月30日を期限とする経過措置を設けたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う医療機関などへの影響を考慮し、2年9月の中医協総会で3年3月31日までの半年間、経過措置を延長する取り扱いを了承。その後の対応が継続課題となっていた。

この日の会合では、厚生労働省から、2年度の診療報酬改定後に、急性期一般入院料や地域包括ケア病棟入院料等における重症度、医療・看護必要度の該当患者割合や回復期リハビリテーション病棟入院料の実績指数の基準を下回っている医療機関が存在している状況などが提示された。

地域包括ケア病棟入院料等を届け出ている医療機関が満たしている実績要件も含め、新型コロナウイルス感染症対応の有無により医療機関の診療状況に明確な差異はなかった。

厚労省は、「現在得られている重症度、医療・看護必要度等の分布を見ても、コロナ対応の違いのみで分布の違いを説明しきれるわけではない」と指摘し、「3年4月1日から医療機関に新たな基準を適用することは、医療提供体制に大きな影響を与える可能性がある」と問題提起。

そのうえで、急性期一般入院料等における重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の引き上げなど、2年度改定にかかる経過措置の期限を3年9月30日まで半年間、再延長することを提案した。

期限の再延長に併せ、医療機関等の実情を適切に把握する観点から、▽入院料の基準を満たさなくなった項目とその実績値▽新型コロナウイルス感染症への対応等の有無▽基準を満たさなくなった理由─などを記録した実績の届出を医療機関等に求める対応も提案。

医療機関等からの届出を集計し、3年10月以降の経過措置の取扱いにかかる議論を中医協総会で進め、9月までに結論を出すスケジュールも示した。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、厚労省の対応案に賛同したうえで、3年10月以降の経過措置の取り扱いについては、「医療提供体制を崩壊させず、医療機関全体をしっかり支えるという観点を最優先に最善の手を検討すべき」との考えを示した。

健保連の幸野庄司理事は、「経過措置の一律延長は2度目であり、今回限りの取り扱いにすべき」と言及。仮に、3年10月以降に再々延長する場合、4年度の次期改定に大きな影響を与えるということも考慮し、適切な対応を図るよう要望した。

中医協では、4年度の次期診療報酬改定に向けた医療経済実態調査に加え、新型コロナウイルス感染症禍における2年度改定の影響を把握する観点から、3年4月から6月のいずれかの月の損益状況を元年、2年の同月と比較する「単月調査」の実施の可否を5月の総会で判断することとしている。

2年度改定における経過措置が3年9月30日まで再延長されたことで、4年度の改定論議に大きな影響を与えることも想定される。

施設基準や算定要件の判定
9月まで元年実績値を適用

この日の中医協総会では、診療報酬点数に設けられている算定要件および施設基準の判定について、令和3年9月30日までの間、元年の実績値を適用することも了承した。

地域医療体制確保加算における救急搬送受け入れ件数や処置・手術等の時間外加算における手術等の件数などのように、大部分の診療報酬点数に設定している算定要件と施設基準は、前年の年間実績をもって翌1年間の算定可否が決まるものが多く、この場合、令和3年4月1日からは、令和2年の実績を適用し、判定することとなる。

ただ、新型コロナウイルス感染症による影響を受けている令和2年の実績で3年度の算定可否を決定することになると、医療提供体制に大きな影響を与える可能性があることを踏まえ、厚労省が対応案を示した。

併せて、平成30年10月~令和元年9月の実績値を判定に使用しているDPCの「機能評価係数Ⅱ」を3年度も据え置いたうえで、改定年度の1年間のみ適用する「激変緩和係数」は撤廃することを提案し、了承された。

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