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健保ニュース 2021年2月下旬号

令和2年度上期の概算医療費
前年比5.2%減の20.5兆円
単価は上昇も患者数が大幅減

厚生労働省は4日、「最近の医療費の動向(メディアス)」令和2年度9月号を公表した。2年度上期の概算医療費は20.5兆円で、前年同期比5.2%減少した。新型コロナウイルス感染症禍において、医療費の単価に相当する「1日当たり医療費」は上昇する一方、医療機関を受診した延患者数に相当する「受診延日数」が大幅に減少。休日数などの違いによる影響を補正すると同6.0%減へと減少幅はさらに下振れする。2年度上期の概算医療費は、政府の緊急事態宣言が発令された5月の前年同月比11.9%減を底に、減少幅は縮小傾向で推移してきたが、感染者数が再び拡大している2年度下期の動向が注視される。

令和2年4月から9月の概算医療費は20.5兆円で、前年同期と比較し5.2%減少した。さらに、休日数などの違いによる影響を補正すると、前年同期比6.0%減へと減少幅は拡大する。

前年同期比3.3%増の21.6兆円だった元年4月から9月の概算医療費と比べると、1兆円強、減少している。

2年の概算医療費をみると、1月(前年同月比1.2%増)、2月(同2.7%増)はプラスの伸び率となったが、新型コロナウイルス感染症の感染者数が拡大してきた3月に同1.2%減と、元年10月以来、5か月振りにマイナスの伸び率へと反転した。

政府の緊急事態宣言が発令された4月は同8.8%減、5月は同11.9%減へと減少幅が拡大。感染者数が一定程度、落ち着いた6月(同2.4%減)以降、減少幅は7月(同4.5%減)、8月(同3.5%減)、9月(同0.3%減)と縮小傾向で推移してきたが、感染者数が再拡大している2年度下期の概算医療費の動向が注視される。

2年4~9月の概算医療費をみると、被用者保険は本人同2.9%減、家族同13.4%減の全体で同6.6%減。国保は同6.2%減、後期高齢者は同3.9%減だった。未就学者は同26.6%減と3割近く減少するなど、新型コロナウイルス感染拡大に伴う患者の受診控えの影響が顕著に現れた。

1人当たり医療費は同5.0%減で、被用者保険が同6.8%減、国保が同3.7%減、後期高齢者が同5.2%減となっている。

診療種類別概算医療費は、医科入院の同4.6%減に対し、医科入院外は同7.2%減と大きく減少。歯科は4.9%減、調剤は3.7%減だった。

医科入院は1日当たり医療費が同1.8%増で受診延日数が同6.3%減、医科入院外は1日当たり医療費が同7.0%増で受診延日数が同13.3%減、歯科は1日当たり医療費が同7.5%増で受診延日数が同11.5%減、調剤は処方箋当たり医療費が同8.7%増で処方箋枚数が同11.4%減。

新型コロナウイルス感染症禍において、医科入院を除き、1日当たり医療費は7%を超える増加幅、受診延日数は10%を超える減少幅となっている。

医療機関別概算医療費は、医科病院同5.0%減、医科診療所同8.2%減、歯科病院同12.8%減、歯科診療所同4.4%減、保険薬局同3.7%減、訪問看護同18.1%増で、訪問看護を除きいずれも減少。

医科診療所の概算医療費を診療科別にみると、小児科(同31.8%減)、耳鼻咽喉科(同28.8%減)、外科(同12.5%減)で二桁を超える減少率となった。

2年9月の概算医療費 前年同月比0.3%減

令和2年9月の概算医療費は前年同月比で0.3%減少し、前月の同3.5%減に比べ減少幅は縮小したが、休日数などの違いによる影響を補正すると前月の同1.2%減から同3.0%減へと減少幅は拡大する。

制度別に2年9月の概算医療費をみると、被用者保険は本人同3.2%増、家族同6.1%減の全体で同0.2%減少した。国民健康保険は同1.0%減に減少する一方、75歳以上の後期高齢者は同0.1%増に増加。未就学者は同22.0%減と大幅に減少した。

1人当たり医療費は同0.0%減で、被用者保険が同0.2%減、国保が同1.2%増、後期高齢者が同1.0%減となっている。

診療種類別概算医療費は、医科入院が同0.1%減、医科入院外が同1.0%減、歯科が同5.0%増、調剤が同1.7%減で、歯科を除きマイナスとなった。

医科入院は1日当たり医療費が同4.2%増で受診延日数が同4.3%減、医科入院外は1日当たり医療費が同6.5%増で受診延日数が同7.1%減、歯科は1日当たり医療費が同7.8%増で受診延日数が同2.6%減、調剤は処方箋当たり医療費が同5.3%増で処方箋枚数が同6.7%減。歯科のみ1日当たり医療費の増加が受診延日数の減少を上回り、同5.0%増の伸び率となった。

1日当たり(処方箋当たり)医療費の伸び率は、1年前の元年9月(医科入院2.9%増、医科入院外2.3%増、歯科1.1%増、調剤3.2%増)に比べいずれも増加しており、特に医科入院以外の伸びが顕著となっている。

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