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健保ニュース 2020年12月中旬号

健保連試算
支援金増加額は4年間累計で2.9兆円
後期2割 一般全体で抑制額▲1兆円

健保連の佐野雅宏副会長は2日、2025年度まで4年間の後期高齢者支援金の増加額の累計と、後期高齢者の自己負担を現行の1割から2割に引き上げた場合の支援金の抑制効果について、健保連独自の推計を交えた算出結果を医療保険部会に提出した。

佐野副会長の提出資料は、厚生労働省が前回11月26日の同部会の会合に示した2022年度、2025年度の支援金総額とこれに対する抑制効果の試算にもとづき、健保連が独自に推計した2023年度、2024年度の2か年分を加えたもの。

厚労省の試算では、現行の1割自己負担のまま推移すると2025年度の支援金は総額8.2兆円となり、2021年度と比べると約1.2兆円の増加となるが、その間の対前年度の負担増が毎年度積み上がっていくため、佐野副会長は、健保連の推計分を足し合わせた「4年間の累計で総額2.9兆円の負担増になる」と強調した。

一方、支援金の抑制額は、厚労省が示した2割の所得基準の選択肢1~5のうち、対象者が最も多い選択肢5(上位44%。本人所得35万円超、本人収入155万円以上)のケースでも4年間の累計は約▲6460億円、累計増加額に対する抑制効果は22%。2割の対象が最も少ない選択肢1(上位20%。本人課税所得64万円以上、本人収入240万円以上)では、4年間の抑制額の累計が▲2130億円、抑制効果は7%にとどまる。佐野副会長はこれらの試算結果を踏まえ、現役世代の負担増抑制効果が相対的に小さいとの考えを示した。

選択肢5のケースでの現役世代の実質的な負担増が4年間累計で2兆円超に上ることを指摘し、こうした点を考慮に入れて、「現役世代の負担上昇の抑制に寄与するかどうかの議論を進めるべきである」と述べた。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う被用者の賃金低下を懸念し、「現役世代の負担増抑制は、より緊要度を増している」と訴えた。また、11月24日に開かれた政府の全世代型社会保障検討会議の議事録では、後期高齢者の自己負担について、2割負担を広く適用すべきとする意見が大半であることも重く受け止めるべきと指摘した。

そのうえで、「健保連としては、現役世代の負担上昇を抑制するためにも、2022年度から一般区分のすべての方に2割負担をお願いしたい」と改めて従来からの主張を展開した。

後期高齢者の52%を占める一般区分の全員に2割負担を適用した場合、支援金の抑制額は4年間累計で約▲1兆円、抑制効果は35%となっている。


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