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健保ニュース 2020年9月下旬号

田村厚労相が会見
後期2割負担 所得基準など年末に方向性
オンライン診療は恒久化

田村憲久厚生労働相は17日、就任会見を行い、政府の全世代型社会保障検討会議が年末に取りまとめる予定の最終報告で、後期高齢者医療の自己負担の見直しに関して、2割が適用される所得基準などを詰め、具体化に向けて一定の方向性を示すことになるとの認識を示した。

後期高齢者の自己負担については、検討会議が昨年末にまとめた中間報告で一定所得以上の75歳以上の高齢者を2割とする方針が示された。焦点の一定所得の基準を詰めて、当初は今年夏の検討会議の最終報告で結論を出す予定だったが、新型コロナウイルス感染症への集中対応で政府内の議論が中断したため、年末に取りまとめることとなった。

田村厚労相は、後期高齢者の2割自己負担について、「負担能力のある高齢者にはお願いをしなければならない」と述べ、菅新内閣においても検討会議の方針を継承する考えを示し、その際、必要な医療が受けられなくなることのないよう、「所得基準をしっかりと議論することが重要であり、一定の方向性を示すことになる」と明言した。

新型コロナウイルス感染防止対策として特例的に実施している、初診も含めたオンライン診療については、菅首相の指示を踏まえ、コロナ対応にとどまらず、収束後も続けて恒久化する考えを示した。その理由のひとつに、超高齢社会における在宅医療への対応をあげ、広範な地域で患者を診る訪問診療を代替する役割もあるとの認識を示した。恒久化するにあたっては、安全性や有効性を担保する仕組みを検討する必要性を指摘した。

令和3年度に予定される毎年薬価改定については、7月17日に閣議決定された「骨太方針2020」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症による影響も勘案し、十分に検討し決定することになるとした。

そのうえで、薬価改定により、市場で実際に取引されている医薬品価格と公定価格の差額である薬価差は是正される一方、その薬価差が医療機関の収益になっている事実もあると問題提起。

医療機関の財政運営が厳しい状況となった際に、薬価差益が得られにくくなった場合、「地域医療を守るためにどのような形で医療機関が存続していくのかということも、考えなければならない課題である」と言及し、医療機関の存続と薬価差の是正との整合性を図りながら薬価改定の検討を進めていく必要があるとの認識を示した。

不妊治療への保険適用については、菅首相の指示を踏まえ、「早く実現できるよう努力する」と強調し、それまでの間に不妊治療費に対する現行の助成額を拡充する方針も示した。

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