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健保ニュース 2020年5月下旬号

6月から柔整療養費の料金改定
初検時相談支援料の要件強化
往療料の距離加算は包括化へ

厚生労働省は、柔道整復療養費の料金改定を6月1日付で施行する。柔道整復療養費の改定率は、慣例に従って令和2年度診療報酬改定における医科改定率(プラス0.53%)の半分を目安に、政府が「プラス0.27%」と決定した。

改定率は、消費増税に伴う療養費改定を行った令和元年10月(0.44%)を0.17ポイント下回る水準で、具体的な財源配分は、社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会が4月22日に了承した。

適正な請求を行う施術者が正当に評価されるような療養費改定を行うことを基本的な考え方とし、「初検時相談支援料」は算定基準を強化したうえで「50円」から「100円」に引き上げる。

現行の「初検時相談支援料」は、患者に、①日常生活動作上での励行事項や禁止事項(入浴、歩行、就労制限等)②患部の状態や選択される施術方法などの詳細な説明③受領委任の取り扱いについての説明④その他、柔道整復師が必要と認め、懇切丁寧に行う相談支援─をきめ細やかに説明し、その旨を施術録に記載した場合に算定できることとされている。

今回の改定では、①に「運動制限」、②に「施術計画等」を追加するほか、③の説明内容を「対象となる負傷、負傷名と施術部位、領収証の交付義務、申請書への署名の趣旨等」と明確化。患者にきめ細やかに説明したうえで、①、②は施術録に簡潔に記載、③は説明した旨を記載した場合に算定できるよう留意事項通知を改正し、基準を厳格化する。

現行、「2500円~1万1700円」の「整復料(骨折、脱臼)」と「3800円~9400円」の「固定料(不全骨折)」はそれぞれ「100円」を上乗せする。「後療料(骨折)」と「後療料(不全骨折、脱臼)」は30円引き上げ、「850円」、「720円」にそれぞれ見直す。

患者の自宅などに出向いて施術した場合の「往療料(基本額1860円)」は、「2㎞超800円」、「4㎞超1600円」、「6㎞超2400円」の距離加算について、「往療料(基本額2300円)」に振り替えたうえで「4㎞超2700円」に包括化する。

健保連の幸野庄司理事は、初検時相談支援料における算定基準の強化を評価したうえで、①と②の基準に対し、「運動制限」は部活やトレーニングなどを行っている方への安静の指示、「施術計画」は治療に要する施術期間の見込みや来院指導について、患者にきめ細やかに説明し施術録へ記載することを要請。

さらに、③の「対象となる負傷」は「療養費の支給基準で判断される外傷性の怪我」、「負傷名と施術部位」は「療養費支給申請書に記載する負傷名と施術部位」、「領収証の交付義務」は「保険適用内・外の内訳」、「申請書への署名の趣旨」は「患者が療養費支給申請書の内容を確認および施術者に給付の受領委任を承認した行為」であることを患者に説明するよう求めた。

そのうえで、今回の改定は受領委任を行うに当たって非常に重要な内容との認識を示し、施術者によって説明内容に差異が生じないよう、厚生労働省保険局に対し関係者への周知を要望。

厚生労働省保険局医療課の樋口俊宏保険医療企画調査室長は、「具体的な説明事項については、Q&Aによる対応を検討したい」と返答した。

一方、往療料における距離加算の包括化について幸野理事は、柔整療養費とあはき療養費が併給されている現状を指摘し、あはき療養費の基準と平仄を合わせる観点から、「次回改定では距離加算を完全包括化し、往療料に一本化すべき」と主張した。

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