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健保ニュース 2019年10月上旬号

厚労省が病床再編プラン再考を促す
公立・公的424施設に要請
診療実績や代替可能性で対象選定

厚生労働省は9月26日、「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長・遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所所長)の地域医療構想ワーキンググループに、病床機能の再編統合に向けた対応方針について再検証を要請する病院を示した。対象は、公立病院257施設と公的病院167施設を合わせた424施設で、近く厚労省から都道府県に通知する。

厚労省は、高度急性期や急性期の病床を持つ公立・公的病院と民間病院を合わせた約4500施設の29年度病床機能報告データにもとづき、手術件数などの診療実績を分析した。その結果、公立・公的病院1455施設のうち、約3割が再検証の対象となった。

具体的には、「がん」「心疾患」「脳卒中」「救急」「小児」「周産期」「災害」「へき地」「研修・派遣機能」の9領域すべてで診療実績が一定の基準を下回り、診療実績がとくに少ないと判断された277施設と、「がん」「心疾患」「脳卒中」「救急」「小児」「周産期」の6領域すべてで構想区域内に類似の診療実績を持つ病院が近隣にあり、他の病院と役割分担ができていない可能性があると判断された147施設を選んだ。

全国339構想区域のうち、対象病院があるのは259構想区域で、今後、対象病院の役割が公立・公的病院でなければ担えないものに重点化されているか、対応方針を調整会議で協議する。

対象病院は、ダウンサイジングや医療機能の分化・連携、不足している医療機能への転換などを含む再編統合を検討する。

対応方針を見直す場合は来年9月末、変更がない場合は来年3月末までに調整会議で合意を得る。また、対象病院が調整会議の構成員で地域の役割分担に関して意見することが困難な場合もあることを想定し、都道府県単位の調整会議でも対応方針を確認し、必要に応じて関係者に助言する。

再検証対象外の病院に関しても、いくつかの領域で診療実績がとくに少ない、もしくは類似の診療実績を持つ病院が近隣にあるにもかかわらず、将来の必要病床数などが現在の病床数と大きく変更がない場合や現在の病床数より多い場合は対応方針の議論を求めていく。

人口100万人以上の構想区域で6領域すべて類似の診療実績を持つ病院が近隣にある病院に関しては、類似の状況にある病院が多数存在するため、今回は要請対象とせず、要請の選定基準を改めて整理することとした。

厚労省医政局は9月27日付で、「地域医療構想の実現に向けて」と題するコメントを発表した。

今回の要請について、一定の条件を設定して急性期機能などに関する医療機能を分析し、各病院が担う急性期機能やそのために必要な病床数について再検証を求めるもので、必ずしも病院の統廃合や、病院が将来担うべき役割やそれに必要なダウンサイジング・機能分化などの方向性を機械的に決定するものではないと強調した。

そのうえで、今回の分析だけでは判断することができない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら調整会議の議論を活性化し、必要な医療機能に見直していく必要性を指摘し、病床のダウンサイジングや機能連携・分化を含む再編統合も視野に議論を進めていくよう求めた。

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