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健保ニュース 2019年8月合併号

全国健康保険協会運営委員会
30年度決算、事業報告を了承
生活習慣病予防 健診実施率が目標達成

全国健康保険協会運営委員会(委員長・田中滋埼玉県立大学理事長)は7月26日、協会けんぽの30年度決算報告書と事業報告書を了承した。

30年度決算は収入11兆3229億円に対し支出10兆7350億円で、収支差5879億円の黒字を計上した。収支差の内訳は医療分が6346億円の黒字、介護分が467億円の赤字となっている(本誌7月中旬号参照)。

30年度事業は、協会全体の目標として設定した21項目の重要業績評価指標(KPI)のうち、特定健診項目にがん検査を含む40~74歳の生活習慣病予防健診の実施率が50.9%(前年度比1.3ポイント増)となり、KPIの50.8%を上回った。健診実施率の目標を達成したのは協会設立後初めて。1521万3千人の健診対象者のうち、774万4千人が受診し、受診者数は前年度から47万人(6.5%)増加。実施率、受診者数ともに過去最高となった。

目標を達成した背景として、事業主と連携して推進する「健康宣言事業」を通じた職場環境改善や健康づくりへの働きかけ、地道な広報活動などによる健康意識の広がりがある。

被扶養者の特定健診実施率は、24.4%と前年度から1.2ポイント増加したが、KPI(25.9%)を下回った。加入者の特定保健指導実施率は16.0%と前年度比2.8ポイント増加するとともに、KPI(14.5%)を達成した。

30年度の事業運営方針は、レセプト点検の推進などに着目した「基盤的保険者機能」、保健事業などを柱とする「戦略的保険者機能」、協会の組織力強化など「組織体制の強化」の3つを柱とし、これらを具現化するためにKPIを設定した。

後発品使用割合は79%
政府目標に近づく

戦略的保険者機能関係に含まれる後発医薬品の使用促進については、政府が掲げる「令和2年9月までに80%以上」と同じ目標を設定するなか、31年3月分の使用割合が78.9%と前年同月を3.9ポイント上回り、KPI(75.4%)も達成した。

事業報告書では、「協会は、協会けんぽのビッグデータを保健事業の推進やジェネリック医薬品の使用促進等に活かせることが強み」と指摘したうえで、保険者機能は確実に強化されてきたと総括している。

医療提供体制への働きかけに関連しては、地域医療構想調整会議で意見発信の機会を増やす観点から、未参加の地域で調整会議への参加が進むよう働きかけた結果、30年度末で346区域に設置された調整会議のうち、47支部で199区域、健保組合などを含む被用者保険全体では275区域に参加し、調整会議への被用者保険者の参加率が79.5%となり、KPI(79.8%)を概ね達成できたと評価した。

基盤的保険者機能関係の効果的なレセプト点検の推進では、社会保険診療報酬支払基金と合算した査定率が0.383%となり、対前年度以上を目標とするKPI(0.395%以上)を達成できなかった。支払基金の一次審査による査定額が前年度と同額の158億円、協会の再審査による査定額は56億円と前年度より1億円増加したが、医療費総額の伸び(3.8%)が影響して前年度実績を下回った。

柔整療養費の適正化
多部位・頻回申請が減少

柔道整復療養費への取り組みは、多部位・頻回受診の該当者の申請に対して、文書による施術内容の確認や適正な受診を働きかけている。

その結果、申請件数全体に占める3部位以上かつ月15日以上の申請割合は1.23%となり、前年度比で0.09ポイント減少。対前年度以下とするKPI(1.32%以下)を達成し、「適正化が図られている」とした。柔整療養費の30年度申請件数は1547万1289件(前年度比0.5%減)、このうち該当する多部位・頻回は18万9660件(同7.2%減)。文書による照会は41万4073件(同23.9%増)となっている。

返納金債権の発生防止に向けた被保険者証の回収強化では、資格喪失後1か月以内の保険証回収率が91.57%でKPI(93%)を概ね達成した。

被扶養者の資格確認の徹底では、132万事業所に被扶養者状況リストを送付し、このうち88.0%の事業所から確認結果が提出され、提出率87%以上とするKPIを達成した。

30年度適用状況
組合へ移行655事業所

30年度の適用状況は、被保険者数が2376万9千人(前年度比2.4%増)、被扶養者数が1564万8千人(同0.5%減)で、加入者数は3941万7千人となり、前年度に比べ47万6千人、1.2%増加。平均標準報酬月額は28万8475円で同3416円、1.2%増加した。

事業所数は222万4千事業所で同11万1千事業所、5.3%増加した。

協会けんぽと健保組合間の異動状況は、協会から健保組合への移行が655事業所(同58事業所減)で、健保組合に移った被保険者は5万1千人(同1万5千人増)、被扶養者は3万6千人(同1万2千人増)となっている。

一方、健保組合から協会けんぽへの移行は、244事業所(同26事業所増)、被保険者2万4千人(同3千人減)、被扶養者1万6千人(同4千人減)だった。協会から健保組合に移った事業所数が411事業所上回った。

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