健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.99

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
理事長 山口 育子

納得できない! 裁判を起こすしかないの?

相 談65歳の姉は、以前から股関節が変形し、数年前から足を引きずって歩いていました。医師から手術を勧められ、今年3月に定年退職を迎えたので、4月に手術を受けました。手術は成功したと義兄から連絡があり、私もホッとしていました。

ところが手術の翌日、お昼頃にトイレに行きたいと姉が言い看護師が付き添ったそうです。その30~40分後に、他の患者から「トイレで人が倒れている」とナースステーションに通報があり、看護師がトイレに駆けつけたところ、姉がトイレで倒れていたそうです。すぐに病室に運び心臓マッサージなどの蘇生が行われ、義兄のもとにも連絡がいきました。義兄が病院に駆けつけたところ、すでに心肺停止の状態でしたが蘇生が続けられていて、義兄の到着とともに死亡確認となったそうです。

死亡診断書には急性心不全と記載されていたのですが、病理解剖をした結果、どこにも異状はなかったそうです。トイレに行ってから他の患者の連絡を受けるまでの時間が二転三転するなど、病院の説明には腑(ふ)に落ちない点もあります。そもそも、手術の翌日にトイレに行ってそのまま死んでしまうなんてあり得ないと思いませんか。病院の対応に納得できないのですが、裁判を起こすしかないのでしょうか。

回 答COML(コムル)理事長 山口育子

2015年から医療に起因した予期せぬ死亡が起きた場合は、医療事故調査・支援センターに医療機関が報告をして、院内調査を行い遺族に説明するという制度が始まっています。この制度は「医療に起因した」「予期せぬ死亡」という2つの条件を満たした場合が対象です。

相談者のお姉さんの場合、「医療に起因した」という条件に当てはまるかどうかがポイントになるかもしれませんが、まずは病院にセンターへ報告する予定はあるかを確認してはどうかと思います。また、病院が報告するつもりがないと言えば、センターに遺族が相談し、もし制度の対象になる可能性があるのなら、センターから病院に連絡してほしいと依頼することもできます。制度の対象になれば、外部委員が入った院内調査の結果が説明されますので、1つの方法ではないかと思います。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

提供:健康保険組合連合会 
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:30~17:50
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify

バックナンバー