健保ニュース
健保ニュース 2026年3月中旬号
保健師・看護師全国研修会
専門知識活用 保健事業推進へ研鑽
健保連は2月26、27日の2日間、東京都内で令和7年度の「保健師・看護師全国研修会」を開催した。専門的知識を生かした戦略的・効果的な保健事業の展開に向けた知識の修得と技術の向上を目指し、健保組合や健保組合の加入事業所に所属する保健師、看護師135人が参加した。
研修会初日の冒頭、健保連の秋山実理事が「健康保険組合の保健事業を取り巻く環境」と題して情勢報告し、健保組合が抱える課題として①高齢化②医療費の高額化③現役世代の過重な負担と国民全体の負担のあり方の検討──を挙げたほか、健保連が昨年9月に発表した「『ポスト2025』健康保険組合の提言」などを紹介した。
続いて、厚生労働省保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室の長江翔平室長が、第4期特定健診・保健指導(2024~29年度)について、制度設計の経緯を織り交ぜながら、ポイントを説明した。第4期から導入された初回面接の健診当日実施に関して、実施率向上や受診者の負担軽減につながることから、推進するよう求めた。
また、特定健診・保健指導の実施率向上に健保組合と一丸となって取り組む考えを示すとともに、30年度からスタートする第5期の制度設計に向けた検討での協力を求めた。
研修会の2日目には、厚労省保険局保険課の宮下彩乃課長補佐が、「データヘルス計画の制度整理と保健事業の実践ポイント」と題して、後期高齢者支援金の加算・減算制度における24~26年度の総合評価指標、コラボヘルスの推進施策などを説明した。
宮下課長補佐は、生活習慣病やメンタルヘルス不調などの影響が、個人の健康問題にとどまらず、企業の労働生産性の低下や医療費構造の硬直化といった国家的な課題につながると指摘。
今後の予防健康づくりは、医療費抑制だけでなく、「働く世代を支える新たな産業としての価値を持つ」と強調するとともに、「保健師、看護師の専門性が欠かせない」とし、日本の未来の健康づくりを共に推進するよう呼びかけた。
また、大阪大大学院特任准教授の野口緑氏の講義と、同氏がモデレーターを務め意見交換会を実施した。あらかじめ参加者が選択した5つのテーマから健康課題に応じた保健事業を目指し、「次のアクション」について検討。野口氏は、行動変容の基本的な考え方は相手を尊重し、自分事として捉えてもらえるよう説明することだと力説した。
第4期特定保健指導
実績、課題テーマに議論
2月26日の研修会では、「第4期特定保健指導の実績と今後の課題について」をテーマにパネルディスカッションを実施した。日本保健指導協会の安藤祐実子氏、グラクソ・スミスクライン健保組合常務理事の戸津玲、二田ひろみ両氏、北海道農業団体健保組合の高松陽子氏の4人がパネリストとして登壇し、慶應義塾大教授の岡村智教氏がモデレーターを務めた。
まず、岡村氏が基調講演し、アウトカム評価を見据えた特定保健指導の改善目標の設定の仕方として、生活習慣における行動変容と体重マイナス2㎏、腹囲マイナス2㎝達成に寄与する因子や達成率の差について説明した。
続く事例発表では、安藤氏が健診結果が判明して「健康への意識が高まっている時期」に面談を行うことのほか、迅速な階層化・案内送付が「最も効果的なタイミング」での介入を可能にするとして、スピード感の重要性を説いた。
第4期特定保健指導の成功に向けては、アウトカム評価を負担ではなく、専門性を証明する「武器」に変え、正しい指導から対象者の納得感と行動変容を引き出す技術が必要と提唱した。
戸津氏は母体企業とともに作成した健康経営に関する戦略マップを紹介。施策の取り組みに指標を設けて達成状況を見える化するとともに、4項目設けた最終目標のうち一つを「健康年齢の向上」とし、健保組合と母体企業の共通目標とすることで両者の連携を図っていると話した。
二田氏は、保健師が社内インフラを通じて初回面接までのプロセスを構造化することで高い保健指導実施率を維持している事例を紹介した。
高松氏は、特定保健指導の完了者へのインセンティブとして渡していた景品を、参加者が自らメールで申し込む方式に変更した事例を紹介した。景品の申し込みは参加者の一部にとどまったものの、特定保健指導の実施率は下がらなかったことを踏まえ、インセンティブ目当ての参加者は多くないと指摘した。
また、自組合の24年度健診での肥満の有所見者割合から、若年層の3~4人に1人は特定保健指導対象者の予備群だったとして、改善に向けて関与の重要性を意識した経験を語った。