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健保ニュース

健保ニュース 2026年3月中旬号

柔整療養費改定 部位転がし対策に重点
幸野参与 初検料の算定要件見直しを
施術部位・回数の制限も提起

社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会(座長・安川文朗京都女子大教授)は2月27日、令和8年度療養費改定に向けて、「部位転がし」対策などを巡り議論した。健保連の幸野庄司参与は、保険請求上、治療部位を変えて負傷と治癒を繰り返す、いわゆる部位転がしの制度上の対応として、▽初検料の算定要件の見直しと一定の施術部位数を超えた場合の初検料を算定不可、または逓減性を設定する▽一部位の施術回数を制限、または逓減制を設定▽一定期間に累計で施術する部位数を制限、または一定の施術回数を超えた場合に逓減性を設定▽同一部位でなくても一定期間を超える複数の部位の施術に逓減性を導入──などを提案した。

部位転がしについて、一律に定義することは難しいとしたが、長期受診、多部位施術、初検料算定回数から疑いの強い対象患者を絞り込むことは可能とした上で、健保連が実施した調査分析から、年2、3回負傷と治癒を繰り返す「直近1年以内に通算して6か月、かつ6部位以上」が該当し得ると指摘。これを部位転がしの基準の目安として、患者ごとに償還払いに変更できる類型に新たに追加すべきと主張した。

初検料の算定にも着目し、多くの患者が年2回以内であり、3回以上は部位転がしが疑われる事例とみて、3回以上を償還払いの対象とすることも提起した。

また、償還払いに変更できる事例として定められている現行5類型のうち、自己施術と自家施術を除外し、不支給とすべきと主張した。

5類型は、①自己施術により療養費を請求した柔整師である患者②自家施術を繰り返し受けている患者③保険者からの施術内容の照会に回答しない患者④複数の施術所で同部位の施術を重複して受けている患者⑤長期・頻回施術を受けている患者(初検日から5か月を超え、かつ1月あたり10回以上の施術を継続して受けている患者)──。

①~⑤のいずれかに該当すれば、受領委任の取り扱いを中止し、償還払いに変更できる。
 幸野参与は、⑤の基準を現行よりも厳格化する必要性も指摘し、「3か月超、月10回以上」とすることを提案した。

また、対象に該当してから実際に償還払いに移行するのは4か月後となる煩雑な手続きを問題視し、一度の注意喚起で改善しない場合に償還払いとするなど、保険者の裁量で柔軟に対応できるよう受領委任協定・規程の見直しを求めた。

厚生労働省がこの日示した保険者ごとの実施状況調査では、回答した45健保組合のうち、償還払いに変更したのは⑤のケースで1件。123市町村国保のうち、②のケースで2件。協会けんぽと後期高齢者医療広域連合はゼロ件だった。合計3件とわずかだった結果を受け、幸野参与は実効性のあるルールに見直すべきと指摘した。

明細書交付も論点

また、この日の専門委では、明細書についても議論した。幸野参与は患者の申し出にかかわらず、施術ごと毎回発行することを求めたが、施術者側は業務負担が増すことなどを理由に難色を示した。

明細書は支払いごとに交付するのが原則だが、患者の求めに応じて月単位でまとめて交付することも可能。現在、明細書を無償で交付した場合に明細書発行体制加算(月1回10円)を算定できる。

施術者側は月単位の交付を維持してほしいと要望。幸野参与は明細書に負傷名を加えて毎回発行する必要性を指摘した上で、「今回の改定で支払いごとの発行に加算することもやむを得ないと考えていたが、施術者側の発言で後退した」と憤った。

初の経営実態調査
6年度損益率は平均29%

厚労省はこの日の専門委に、初めて実施した「令和7年度柔道整復施術所経営実態調査」の結果を報告した。昨年11~12月に約1万9000施術所を対象に調査し、2356施術所(12.4%)から回答を得た。

それによると、6年度の損益率は平均29.0%(前年度比1.4ポイント減)で、このうち個人は33.1%(同2.6ポイント減)、法人は24.0%(同0.2ポイント増)だった。

1施術所あたりの平均収益から平均費用を差し引いた損益差額は343万981円(同5.0%減)で、個人は277万5010円(同8.7%減)、法人は502万9204円(同1.6%増)。

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