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健保ニュース 2026年3月中旬号

自民厚労部会が健保法改正案を了承
出産給付に「分娩費」新設
施設の経営維持に党として関与

自民党の厚生労働部会(鬼木誠部会長)は4日、標準的な出産費用の給付体系やOTC類似薬の保険給付の見直しなどを柱とする「健康保険法等の一部を改正する法律案(健保法等改正案)」を審査し、部会長一任で了承した。政府・与党は予算関連法案として、3月中旬の国会提出を目指す。出産の給付見直しでは、標準的な分娩の基本単価として「分娩費」を新設する。鬼木部会長によると、出席した議員から、地域の分娩施設の経営への影響を懸念する意見が多数上がったため、施設の経営が成り立つ水準の給付を党として強く求める方針を確認したという。

厚労部会での健保法等改正案の審査はこの日が2回目。前回2月25日の部会では、出席議員から多数の質疑、意見が寄せられたことや、予定時間を大幅に超過して多くの議員が途中退出したことを考慮し、法案の了承を持ち越していた。

3月4日の部会では、厚労省が前回部会での質疑に回答した上で、さらに出席議員から意見を聴取した。

終了後に記者団の取材に応じた鬼木部会長は、出産に係る新たな給付について、「現役世代の保険料負担に配慮しつつ、新たな制度の給付額を現行の50万円からしっかり引き上げ、保険診療も含め、分娩施設が今後も運営できる水準とすることを党として強く求めていく方針を確認し、部会長一任に至った」と説明した。

OTC類似薬の保険給付の見直しに対しては、日本維新の会との合意内容に否定的な意見も出たという。

高額療養費制度の見直しについては、丁寧かつわかりやすい説明が必要だとする意見があった。また、患者の自己負担の年間上限に関して、長期療養者に配慮して、さらに長期間での上限設定を希望する声もあった。

持続可能な医療保険制度へ
高療見直しや金融所得勘案

同部会では、政府が提出を予定する健保法等改正案の概要が示された。法案は昨年末の社会保障審議会医療保険部会の取りまとめを踏まえ、持続可能な医療保険制度の実現に向け、必要な保険給付の適切な実施や、世代間・世代内の負担の公平性の確保を図るため、①より公平な負担の実現、効率的な給付の確保②出産などの次世代支援や現役世代からの予防・健康づくりの拡充③必要な医療の提供の確保──の観点から健康保険法など関係法を改正する。

①はOTC類似薬の保険給付の見直しと、後期高齢者の保険料算定と窓口負担割合の判定への金融所得の反映を盛り込んだ。

OTC類似薬の保険給付の見直しは、医療用医薬品の給付を受ける患者とOTC医薬品で対応する患者との公平性確保や、現役世代の保険料負担上昇を抑制する観点から、「一部保険外療養」を創設し、令和9年3月に施行する。

対象はOTC医薬品との代替性が特に高い77成分、1100品目の医薬品で、薬剤費の4分の1について「特別の料金」として患者に負担を求める。

ただし、子どもやがんなど配慮が必要な慢性疾患を抱える人、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用が医療上必要と考える人には、特別の料金の負担を求めない。

後期高齢者の負担への金融所得の反映は、確定申告の有無により保険料や窓口負担が変わる不公平の是正が狙い。

法案では、金融機関が税務署に提出する法定調書について、オンラインで保険者への提出を義務づけることで、後期高齢者の負担に金融所得を反映させる。

施行時期は、国による「法定調書データベース(仮称)」の構築や、保険者などのシステム改修に配慮し、公布後5年以内とした。

②は標準的な出産費用の給付体系の見直しや、協会けんぽが取り組む保健事業の責務の明確化など。

出産の給付見直しでは、標準的な出産費用を保険適用し、10割給付とする。分娩の多様性を考慮し、分娩1件あたりの基本単価である「分娩費」を国が設定し、保険者が直接分娩施設に支給する。

分娩費の具体的な金額は告示事項とされ、厚労大臣が分娩にかかる費用を調査した上で定める。これに伴い分娩を取り扱う施設には、提供するサービス内容やその費用などの国への報告が義務づけられる。

帝王切開など分娩に伴う保険診療は、従来通り療養の給付の対象とし、妊婦の自己負担などの経済的負担に配慮して、全ての妊婦を対象に現金給付を導入する。

施行は公布後2年以内だが、各施設の準備に配慮し、当面の間は施設が現行制度の適用を受けることも選べるようにする。

③は、高額療養費制度の見直しと、業務効率化や勤務環境改善に取り組む医療機関の支援を掲げた。

高額療養費制度の見直しは、患者団体も参加した厚労省の専門委員会の議論を踏まえ、特に長期療養者の家計への影響を考慮して、高額療養費の支給要件や支給額を定めることを法律上明記する。施行期日は今年の8月1日。

同日には、自己負担限度額と外来特例の引き上げや、自己負担の年間上限の設定などの見直しを行う。

来年の8月には、所得区分を細分化するほか、細分化により新たにできる年収200万円未満の所得区分について、多数回該当の限度額を引き下げるなど、低所得者にも配慮する。

医療機関の業務効率化や勤務環境改善の支援は、2040年に向けて医療従事者を安定的に確保し、質が高く効率的な医療提供体制を構築するため、健保法で、医療機関の責務として業務効率化・勤務環境改善に取り組むよう努める旨を明確化する。また、現在、医療法で病院や診療所の管理者の努力義務となっている勤務環境改善に、業務効率化を追加する。

このほか、協会けんぽへの国庫補助に係る特例減額の時限的な控除額引き上げや、一定の条件に当てはまる国保組合に対する国庫補助の例外的な補助率の適用なども盛り込んだ。

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