健保ニュース
健保ニュース 2025年6月上旬号
セルフメディケーション税制
厚労省検討会 対象品の追加と除外を議論
厚生労働省の「セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」(座長・井深陽子慶応大教授)は5月26日、セルフメディケーション税制の今後のあり方をテーマに議論した。
厚労省は論点として①税制対象として、新たに追加を検討することが考えられる医薬品②新たに税制対象から除外を検討することが考えられる医薬品──を提示し、構成員から意見を求めた。
健保連の伊藤悦郎常務理事に代わり、参考人として出席した秋山実理事は、①に関して、「医療費適正化の観点から対象品目の拡大は必要」と述べた上で、OTC検査薬はすでに税制対象の風邪薬などと親和性が高く、「検査薬を使用することで医療機関の受診を考える判断材料になる」ため追加すべきとした。また、胃腸薬は「薬局でよく聞かれる症状アンケート」で胃腸症状の関心が高いとして、対象にすべきと主張した。
②については、セルフメディケーションを推進する観点から対象項目となった医薬品の積極的な除外は想定しないとした上で、「保険給付の対象ではない医薬品は医療費適正化に直接つながらないため除外を考えることはできる」と述べた。
同検討会は、引き続き税制のあり方や推進に関する工程表について議論し、今夏をめどに意見を取りまとめる見通し。
事例の蓄積が必要
健保連・秋山理事
この日の会合では、池本多賀正氏(日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会OTC医薬品分科会委員兼ホワイトヘルスケア代表取締役)が健保組合へのセルフケア・セルフメディケーション支援事業の中で効果があった▽レセプトデータから花粉症や皮膚疾患の人を抽出し、スイッチOTC情報をダイレクトメールで通知▽啓発資材やテストを利用したインセンティブ配布──を紹介した。
池本氏は保険者を通じたセルフケア・セルフメディケーション事業の意義は大きいとして、「取り組む保険者の拡大」や「患者が利活用しやすい環境整備」──などを提言した。
秋山理事は提言を受けて、「様々な規模の健保組合がある中で、全ての健保組合が紹介された事例に取り組むことは難しい」と指摘し、「限られた保健事業費の中でどういった取り組みをするか、事例の蓄積と効果の検討が必要」と応答した。