HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2025年6月上旬号

健保ニュース

健保ニュース 2025年6月上旬号

入院・外来医療分科会
新「構想」念頭に急性期医療の課題を議論

入院・外来医療等の調査・評価分科会(分科会長・尾形裕也九州大名誉教授)は5月22日、急性期と高度急性期の入院医療をテーマに、新たな地域医療構想に盛り込まれる「医療機関機能」の確保を念頭にした今後の課題を議論した。

厚生労働省はこの日の会合に、急性期入院医療に関する①地域における急性期病院の現状②DPC制度──、高度急性期入院医療に関する③ICU・HCU・SCUを有する病院④特定集中治療管理料の医師配置要件⑤特定集中治療室遠隔支援加算──の課題を提示した。

①は急性期医療について、新たな地域医療構想で、「高齢者救急・地域急性期機能」や「急性期拠点機能」が二次医療圏ごとなどで確保すべき医療機関機能とされたことを踏まえて、病棟単位で算定される診療報酬を「病院の機能」として着目して分析した。

「高齢者救急・地域急性期機能」を担う病院の現状を把握するため、「急性期一般入院料1」の算定病院から、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟などを「ケアミックス病院」として切り出した。それ以外の一般病院と比較したところ、ケアミックス、一般問わず、病床数が同規模でも、病床当たりの救急搬送受入件数や手術件数にはバラツキがあることがわかった。

また、救急搬送の状況をみると、二次医療圏では、人口規模に伴い件数も増えている。高度・専門的な医療実績などを評価する「総合入院体制加算」や「急性期充実体制加算」を算定している病院は、人口20万人以上の二次医療圏にある病院が大部分を占めていた。人口規模の小さな二次医療圏では、件数は少ないものの、救急搬送の地域シェア率が高い医療機関があるが、加算は算定されていなかった。

こうした現状を踏まえ、今後の急性期入院基本料についての検討を論点として提示。併せて、人口規模が小さい医療圏でも、地域の救急搬送の受け入れなどの拠点として不可欠な機能を果たす病院があるとして、今後の評価のあり方を論点として示した。

②のDPC対象病院は、6年6月時点で1786病院・約48万床と段階的に拡大し、急性期一般入院基本料を届け出た病床の85%を占める。一方、DPC算定可能病床を有する医療機関の約1800施設が制度に参加していない。

DPC対象病院は担う役割に応じて、「大学病院本院群」「DPC特定病院群」「DPC標準病院群」に分類される。「DPC標準病院群」は対象病院の8割以上を占め増加しているが、「DPC特定病院」は横ばいで推移する一方、急性期医療を確保する基本料や加算を取得している状況にあり、DPC医療機関群の定義のあり方や制度への参加基準などの整合性を論点として示した。

健保連の中野惠参与は、①について、新たな地域医療構想で導入する医療機関機能を踏まえると、ケアミックス病院が「高齢者救急・地域急性期機能」に、それ以外の一般病院が「急性期拠点機能」に該当すると指摘した。

その上で、「可能な限り、地域で役割分担することが望ましい」と述べ、機能分化をより推進する観点からの入院基本料の検討を要望した。

今後、急性期拠点機能の評価について、「救急搬送の実績にシェア率を入れることはあり得る」とする一方、「現行の要件緩和ではなく、より妥当な評価という視点で技術的な検討を進めるべき」と主張した。

②については、「DPC特定病院群」が大学病院本院に準じた病院という考え方を前提にすると、新たな地域医療構想では「急性期拠点機能」を担うことが想定されるとし、特定病院群の定義に入院基本料や「総合入院体制加算」、「急性期充実体制加算」の算定を組み合わせることを提案した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年