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健保ニュース

健保ニュース 2025年6月上旬号

被用者保険の適用拡大など
年金法案が衆院審議入り
石破首相 公費での社保料減免に難色

被用者保険の適用拡大などを柱とする「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」(年金改革関連法案)は5月20日、衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。

厚生年金の積立金を活用した基礎年金(国民年金)の底上げ策は、政府案では削除されていたが、自民、公明両党と立憲民主党は27日、法案の附則に明記する修正案で合意。3党共同で修正案を28日の衆院厚生労働委員会に提出した。

被用者保険の適用拡大は、▽短時間労働者の適用要件のうち、企業規模要件(被保険者数51人以上の企業)を段階的に引き下げ、撤廃▽賃金要件(所定内賃金月額8.8万円以上)を最低賃金の動向を踏まえ撤廃▽常時従業員5人以上を使用する個人事業所の非適用業種(法定17業種以外)を解消──などの見直しを実施する。

このほか法案には、厚生年金保険の標準報酬月額の上限の引き上げ(65万円→75万円)や在職老齢年金制度の支給停止基準の引き上げ、遺族厚生年金の男女差解消なども盛り込まれた。

20日の趣旨説明で福岡厚労相は、同法案の目的について、高齢者や女性の就業の進展、持続的な賃上げの継続といった社会経済の変化を踏まえ、多様なライフスタイルを反映した「働き方に中立的な制度を構築する」と強調した。

質疑では三谷英弘(自民党)、井坂信彦(立憲民主党)、梅村聡(日本維新の会)、濵地雅一(公明党)の4氏が登壇した。

被用者保険の適用拡大に関し、石破首相は、企業負担の増大への対応と負担増による経済への影響を問われ、企業に対してキャリアアップ助成金による支援を用意するとした上で、「社会保険料の事業主負担は、労働者を支えるための事業主の責任として求められており、公費による保険料の減免は経過措置を設けたとしても問題がある」と答弁した。

また、「経済への影響は定量的に評価できない」とする一方、「人手不足の中で労働者の年金給付が手厚くなることは、企業の人材確保につながる」と述べた。

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