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健保ニュース 2024年2月上旬号

6年度介護報酬改定を答申
処遇改善へ基本報酬引き上げ
全サービスで加算率増

社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は1月22日、令和6年度介護報酬改定案を了承し、同日付で遠藤久夫社保審会長から武見敬三厚生労働相に答申した。

介護報酬は原則3年ごとに改定する。6年度の介護報酬改定の改定率は、昨年12月20日の財務相と厚労相との折衝で、全体でプラス1.59%とすることを合意。内訳は、介護職員の処遇改善分で0.98%、その他介護職員以外に0.61%を措置した。

介護現場で働く者の処遇改善を着実に行い、サービスごとの経営状況の違いも踏まえたメリハリある対応を行う観点から、施設、居宅、通所系等サービスでは、基本報酬の単位数を引き上げた。

一方、訪問看護サービスは、4年度経営実態調査で収支差率7.8%と平均2.4%に比べて高い水準だったことなどから、基本報酬の単位数を総じて引き下げた。定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護は、将来の統合を見据えて引き下げ、区分を新設した。

6年度介護報酬改定では、「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」を基本方針に定め、介護職員等の賃金について6年度に2.5%、7年度に2.0%のベースアップをめざす。

月額賃金の改善、職場環境改善などを要件とする「介護職員等処遇改善加算」を新設し、現行加算を一本化。サービスごとに設定する加算率を全サービスで引き上げた。

訪問看護は、サービス中、最も高い加算率を設定。現行加算に2.1%を上乗せし、加算Ⅳの14.5%から技能のある職員配置を要件とする加算Ⅰの24.5%まで4区分で取得可能とした。6年6月に施行する。

また、介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進の観点から、▽生産性向上推進体制加算(Ⅰ)100単位/月、▽同(Ⅱ)10単位/月─を新設。

テクノロジーの複数活用と職員間の適切な役割分担に取り組む特定施設の人員配置基準を柔軟化し、要介護3に対し介護職員0.9以上とした。

このほか、6年に1度の診療報酬との同時改定を踏まえ、基本方針となる「地域包括ケアシステムの深化・推進」に医療介護の連携を盛り込んだ。介護老人福祉施設等の「配置医師緊急時対応加算」の時間外対応に325単位/回を新設するなど高齢者施設の医療ニーズへの対応を強化。在宅療養支援病院など地域の医療機関等を協力医療機関と定めることを義務化する。

制度の持続性確保 次期改定で重点化を
伊藤常務理事

改定案に対し、健保連の伊藤悦郎常務理事は、「制度の担い手である現役世代はこれ以上の負担増には耐えられない」と主張した。改定による影響・効果検証や今後の課題が示された審議報告を踏まえ、令和9年度の次期介護報酬改定に向けては、制度の安定性・持続性の確保に重点を置いた見直しが必要と強調。

保険料負担などを念頭においた介護報酬の見直し、給付と負担のあり方や介護給付費の適正化、介護現場の生産性向上などの検討を進め、実施可能なものは次期改定を待つことなく、早急に取り組むべきとの考えを示した。

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