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健保ニュース 2024年2月上旬号

利用率目標や窓口対応見直し等
厚労省がマイナ保険証の促進策
佐野副会長 一体化へ事業者と連携し対応

社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭会長)は1月19日、マイナ保険証の利用促進等をテーマに議論した。

この日の会合では、厚生労働省が、①マイナ保険証の利用促進②マイナ保険証への円滑な移行に向けた対応③オンライン資格確認の用途拡大─の現状と課題、対策を示した。

このうち、①は、令和6年12月2日からマイナ保険証を基本とする仕組みに移行する方針を踏まえ、国、医療機関・薬局、保険者、経済界が一丸となり、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用を促進していく意向を表明した。

マイナ保険証の利用率が直近の昨年12月で約4.3%にとどまっている状況のなか、普及に向けた利用促進対策を提示。

保険者による取り組みとして、(1)マイナ保険証の利用率の目標設定(2)マイナ保険証への意識転換を促す統一的なメッセージの動画広告を作成し、集中的に動画広報を展開(3)医療機関等にマイナ保険証を持参するよう、メリット周知・利用の促進を進め、2月末までに全保険者の実施状況を調査─などを掲げた。

このうち、(1)は、2月中を目途に目標を設定し、実績を保険者インセンティブ制度・業績評価等で評価する。

(3)は、▽加入者に向けたメール送信やチラシ配布等による利用勧奨▽限度額適用認定証の取得申請にかかるホームページ等の案内・認定証申請書様式・認定証送付時の同封書類の見直し(マイナ保険証を利用すれば限度額認定証が不要となる旨の記載)▽保健事業実施時における利用勧奨▽ホームページや利用の手引きを通じた利用勧奨─に取り組む。

合わせて、事業者に対しては、▽健康経営優良法人認定制度における認定等の際の調査項目に追加(経済産業省)▽厚労省、経産省、経済団体等のイベント・会合で、事業主・医療保険者に利用促進を呼びかけ─を利用促進に向けた取り組みとして提示した。

他方、医療機関・薬局の利用促進対策は、「6年度診療報酬改定で医療DXの推進体制について新たな評価を行うなかで、利用実績に応じた評価を検討中」としたほか、全医療機関等に対し、▽窓口での声かけを「保険証、見せてください」から「マイナンバーカード(マイナ保険証)、お持ちですか」へ切換え▽医療機関HPの外来予約等の案内でマイナカードの持参を記載─を要請し、2月から診療報酬のオンライン請求時に取り組み状況をアンケート調査する。

②は、必要なシステム改修等を実施したうえで、▽マイナンバーカードを取得していない、健康保険証の利用登録をしていない▽マイナカードの健康保険証利用登録を解除した▽電子証明書の更新を失念・マイナカードを返納した─者に対し、申請によらず「資格確認書」を交付。利用登録の解除申請は、6年10月頃から保険者が受け付けることとした。

③は、職域診療所に既存のオンライン資格確認等システムを導入するため、医療機関等コードの代替となるコードを付番するためのシステムを構築する対応を提案。6年7月を目途に運用を開始する予定とした。

健保連の佐野雅宏副会長は、マイナ保険証の利用促進について、「健保組合、健保連としてマイナ保険証への移行に対応し、保険者として可能な限り実行・協力していく」との考えを示した。

また、「限度額適用認定証の取得、申請手続き等が不要となることは、関係者のメリットが大きい」と指摘したうえで、保険者として適切に対応するとともに、医療関係者によるアナウンスを求めた。

さらに、マイナンバーカードと保険証の一体化に向けては、事業者との連携が重要と強調し、企業と健保組合が連携して行っている「健康経営優良法人認定制度」の活用を推進していく必要があるとした。

猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、「マイナ保険証による受診は、今後の医療DXの基盤となる第一歩であり、日本医師会として利用促進に取り組んでいく」と言及。

そのうえで、「医療現場の働きかけはもちろん、政府、行政、保険者と力を合わせ、マイナ保険証による利便性を患者が理解することが重要」との認識を示し、これからも適時努力していくとした。

北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、マイナ保険証の利用率について、「保険者が主体的に目標を設定することは馴染まない」として、国が具体的な数値を明示するよう要請。

他方、「オンライン資格確認は、さらなる拡充を図っていくことが想定される」と見通し、「システム構築へ大きな投資が必要となり、その利用実態を踏まえた費用負担のあり方を議論するべき」と述べた。

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