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健保ニュース 2023年9月上旬号

厚労省・6年度予算概算要求
一般会計総額 実質過去最大の33.7兆円
同時改定など年末に検討

厚生労働省は8月25日、令和6年度予算概算要求を公表した。一般会計総額は前年度比5866億円増の33兆7275億円。5年度から、内閣官房こども家庭庁関連予算を除いているため、実質的には4年度の33兆9450億円を上回り、過去最大規模となる。

金額を明示しない「事項要求」の▽診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定への対応▽少子化対策の財源の一部となる新たな支援金制度など「こども・子育て支援加速化プラン」の内容の具体化の取扱い─などは、年末の予算編成過程で検討するため、最終的な予算額は大きく変動する見通し。

要求段階の一般会計総額のうち、年金・医療等に係る経費は31兆8653億円で、その内訳は、▽医療12兆1345億円▽年金13兆979億円▽介護3兆4999億円▽障害1兆7396億円─など。裁量的経費にかかる削減額の3倍を要求できる「重要政策推進枠」は1518億円を計上した。

年金・医療等に係る経費に対する高齢化などに伴う自然増は前年度から5200億円を上積みしている。このなかには、他府省所管の予算額が400億円含まれているため、厚労省所管分の自然増は約4800億円となる。その内訳は、▽医療2200億円▽年金900億円▽介護800億円▽障害800億円▽福祉50億円─と見込んだ。

医療費国庫負担は12兆1345億円(前年度比2243億円増)とし、その制度別内訳は、協会けんぽが1兆2530億円(同159億円減)、国保が3兆858億円(同308億円減)、後期高齢者医療が5兆9449億円(同2655億円増)の3制度合計10兆2836億円(同2188億円増)のほか、公費負担医療1兆8509億円(同55億円増)を見込んだ。後期高齢者医療の増加は団塊世代の後期高齢者への移行に伴い、後期高齢者医療制度の被保険者数が増加することが要因となる。

人口動態の変化見据えた
医療・介護の構築など柱

概算要求における主要政策は、アフターコロナの視点にもとづき、①今後の人口動態・経済社会の変化を見据えた保健・医療・介護の構築②構造的人手不足に対応した労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進③包摂社会の実現─の3分野を柱とした。

①は、医療・介護におけるDXの推進により、医療・介護のイノベーションを推進するとともに、安心で質の高い医療・介護サービスの提供を図る。

③や雇用セーフティネットの整備を土台に、①によるイノベーションの加速化、②によるリスキリング、労働移動、多様な人材の活躍を通じて、収益の増加・賃上げや生産性向上・質の高いサービスの確保を図り、成長と分配の好循環に寄与することをめざす。

また、これらにより▽人口減少に対応した新しい資本主義の実現▽国民1人ひとりが豊かさを実感できる社会の実現─のための改革を進める。そのなかでは、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定など、近年の物価高騰・賃金上昇等を踏まえた必要な対応を行うこととした。

医療保険の運営確保へ
被用者保険に837億円

6年度の主要施策には、①のうち「安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保」として、高齢者医療拠出金の負担が過重な被用者保険への財政支援に837億円を計上した。同額は前年度に比べ6億円積み増した。

「重要政策推進枠」を活用し、子どもにとってより良い医療のあり方の実現や出産費用の見える化により公表される情報の活用を図るための取り組みなどを行う健保組合等への財政支援として新規に9.9億円を計上。4年10月および6年10月からの短時間労働者の適用拡大に伴う影響で財政が逼迫するおそれのある健保組合への財政支援について、6.3億円を計上した。

医療保険制度改革に伴う被用者保険への財政支援強化への対応については、予算編成過程で検討する。

また、「医療・介護におけるDXの推進」として166億円を計上。このなかにはマイナンバーカードと保険証の一体化の推進など、予算編成過程で検討する「事項要求」を含めた。

このほか、消費税率の引き上げ(5%→10%)を主要財源とする社会保障の充実は、税収額や重点化・効率化の動向を踏まえ、予算編成過程で検討することとした。

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