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健保ニュース 2023年3月中旬号

令和5年度薬価基準改定を告示
新創加算 臨時・特例対象は143品目

厚生労働省は3日、令和5年度薬価基準改定を官報告示した。
 2度目の毎年薬価改定となる5年度薬価改定は、4年薬価調査の平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象範囲とし、薬価と市場実勢価格との乖離率から調整幅(2%)を緩和したうえで引き下げる。

算定ルールは、▽後発品等の価格帯▽基礎的医薬品▽最低薬価▽新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算のみ)▽既収載品の外国平均価格調整─を適用。3年度に実施した毎年薬価改定と同様、新薬創出等加算の累積額控除や長期収載品の引き下げルールは適用しない。また、「既収載品の外国平均価格調整」は、該当する品目がなかった。

一方、物価高騰等の影響による不採算品目の状況に関する調査結果を踏まえ不採算品再算定を適用して薬価を引き上げるとともに、イノベーションに配慮する観点から新創加算の加算額を増額して従前の薬価と遜色ない水準とする「臨時・特例的な対応」を実施した。

全品目の約7割が改定対象となり、医療費への影響額はマイナス3100億円を見込む。
 5年度薬価基準の収載医薬品の告示数は内用薬7443品目、注射薬3554品目、外用薬2075品目、歯科用薬剤26品目の合計1万3098品目。

市場実勢価格にもとづく薬価引き下げを猶予・緩和する新創加算の対象は、▽希少疾病用医薬品206成分、306品目▽開発公募品13成分、23品目▽加算適用品89成分、169品目▽新規作用機序医薬品のうち基準該当品40成分、58品目▽新規作用機序医薬品から3年以内かつ3番手以内のうち1番手が加算適用品または基準該当品22成分、44品目─の合計370成分、600品目で、4年度薬価改定(351成分、593品目)から19成分、7品目増加。

4年度薬価改定以降に発売された製品が加わった一方で、後発品が現れた製品などが外れた。通常は加算の要件を満たさなくなった時点で、過去に受けた累積加算相当額を返還し、大幅に薬価を控除するが、6年度改定まで返還を保留する。

企業数は92社で4年度薬価改定の90社から2社増加。研究開発の積極性に応じた3段階の評価で、薬価が維持される「企業区分Ⅰ」が22社(全体の24%)、薬価に0.9を乗じる「同Ⅱ」が52社(同56%)、薬価に0.8を乗じる「同Ⅲ」が18社(同20%)となる。

600品目のうち、実勢価改定の対象となるのは233品目で、このうち、薬価が維持される対象は90品目、改定前薬価と加算適用後の価格差相当額の95%を加算適用後価格に上乗せする臨時・特例的対応の対象は143品目だった。

不採算品再算定(臨時・特例的対応)により薬価の引き上げを行ったのは328成分、1081品目で、解熱鎮痛消炎剤の「アセトアミノフェン(20%1g)9.90円(改定前薬価7.10円)」などが該当した。

医療上必要性が高い医薬品として、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し安定供給を確保している「基礎的医薬品」の対象は、▽不採算163成分、555品目▽病原生物96成分、382品目▽麻薬9成分、28品目▽生薬46成分、55品目▽軟膏基剤3成分、11品目▽歯科用局所麻酔剤1成分、3品目─の合計318成分、1034品目。

また、安定確保医薬品にかかる基礎的医薬品は、▽先発品がG1/G2品目であるもの8成分、58品目▽それ以外2成分、2品目─の合計10成分、60品目だった。

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