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健保ニュース 2023年2月上旬号

中医協がコロナ・高額薬に対応
特例的な薬価算定方法を議論

中医協総会は1月25日、高額医薬品(感染症治療薬)への対応を審議し、具体的な薬価算定方法について薬価専門部会で検討することを了承した。

その後に開催した薬価専門部会では、収載時の薬価算定方法や収載後の価格調整などの議論を進めていくことを確認した。

厚生労働省は、できるだけ速やかに結論が得られるよう対応していく意向を示した。
 令和4年度薬価制度改革の骨子は、「高額医薬品に対する対応」として、「年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目が承認された場合、通常の薬価算定の手続きに先立ち、直ちに中医協総会に報告し、当該品目の承認内容や試験成績などに留意しつつ、薬価算定方法の議論を行う」ことを決定。

この日の中医協総会は、厚労省が軽症~中等症Ⅰの新型コロナウイルス感染症患者の治療薬として4年11月22日に緊急承認された「ゾコーバ錠」について、感染者数の増大等で年間市場規模が急激に拡大し、1500億円を超える高額医薬品となる可能性を指摘した。

「ゾコーバ錠」は、現状、厚労省が所有したうえで、対象患者が発生または発生が見込まれる医療機関・薬局からの依頼にもとづき無償で譲渡されており、供給開始以降、5年1月16日時点の投与患者数は累計約1万7500人に達している。

厚労省は、革新的な医薬品の評価を適切に行うとともに、市場規模が高額な品目は医療保険財政に与える影響を踏まえ対応する必要があるとしたうえで、4年度薬価制度改革の骨子の「高額医薬品に対する対応」にもとづき、「ゾコーバ錠」の具体的な薬価算定方法を薬価専門部会で検討し、その結果をもとに総会で議論する対応を論点として提示した。

支払側、診療側とも特段の反対意見はなく、薬価専門部会で検討を進めることとした。
 その後の薬価専門部会では、厚労省が「ゾコーバ錠」の具体的な薬価算定方法の課題として、▽薬価収載時の薬価算定▽薬価収載後の価格調整─を示した。

薬価収載時の薬価は、「類似薬効比較方式」による算定を原則とし、比較薬が存在しない場合に「原価計算方式」で算定。「ゾコーバ錠」は対象疾患の類似性(新型コロナウイルス感染症)と投与対象患者の類似性(重症化リスク因子の有無)のいずれを優先するかで比較薬が異なり、算定薬価が大きく変わる。

また、薬価収載後の価格調整は、「ゾコーバ錠」の市場規模が予測よりも大幅に拡大した場合、現行の市場拡大再算定等のルールでは、短期間で急激な変動が生じうる感染症の特性から迅速な対応が困難となる。

このため、厚労省は、▽収載時の薬価算定の方法▽投与対象患者数や市場規模予測▽薬価収載後に価格調整を行うルールの適用─についてどのように考えるかを論点として提示した。

今回の方針は、対象疾患の特性等を踏まえた「ゾコーバ錠」に限った対応として議論することとしたほか、検討過程で関係業界から意見聴取することも提案した。

両側から異論はなく、引き続き、薬価専門部会で「ゾコーバ錠」の具体的な薬価算定方法について検討を進めていくこととした。

健保連の松本真人理事は、「革新性の評価と医療保険財政の影響に対するバランスは極めて重要」との認識を示したうえで、「支払側、保険者の立場としては、今後も続く極めて厳しい医療保険財政の状況を大前提に、イノベーションを評価せざるを得ない」と強調した。

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