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健保ニュース 2022年8月合併号

5年度の毎年薬価改定に向け
中医協が4年度薬価調査を承認
松本理事 議論の前倒しを要望

中医協は7月20日の総会で、令和5年度の毎年薬価改定に向けた4年度医薬品価格調査(薬価調査)を承認した。

2年前の3年度毎年薬価改定に向けた2年度薬価調査と同様の実施方法とし、調査結果を踏まえた薬価改定の具体的な内容は薬価専門部会で議論したうえで総会に報告することとした。

毎年薬価改定は、平成28年12月の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」(内閣官房長官、経済財政政策担当相、財務相、厚生労働相の4大臣合意)により、国民負担の軽減を実現する観点から、価格乖離の大きな品目について実施することが決定された。

その方針にもとづく3年度毎年薬価改定に向けた2年度薬価調査は、▽販売サイド調査は、すべての医薬品卸から3分の2の抽出率で抽出された営業所等を対象▽購入サイド調査は、前年の薬価調査の半分の規模を対象─に実施した。

総会に先立ち開催された薬価専門部会では、厚労省が5年度毎年薬価改定に向けた4年度薬価調査の論点として、▽2年度薬価調査と同様の実施方法とする▽薬価調査を踏まえた薬価改定の具体的な内容は薬価専門部会で議論したうえで総会に報告する─対応を提案。

4年度薬価調査は、薬価収載されている全医薬品について、医療機関および薬局に対する一定率で抽出された医薬品卸販売業者の営業所等の販売価格並びに一定率で抽出された医療機関等での購入価格を調査する。

4年度中の1か月間の取引分について、販売サイド調査は層化無作為抽出法により3分の2の抽出率で抽出された医療機関および薬局に医薬品を販売する医薬品卸売販売業者の営業所を対象に実施。

購入サイド調査は、▽層化無作為抽出法により40分の1の抽出率で抽出された病院▽層化無作為抽出法により400分の1の抽出率で抽出された診療所▽層化無作為抽出法により120分の1の抽出率で抽出された薬局─を対象に実施する。

いずれも2年度薬価調査と同様の実施方法となる。
 診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、厚労省の提案に賛同したうえで、薬価改定の具体的な内容は新型コロナの急激な再拡大が起こり、燃料費の高騰や物価高、医薬品の安定供給障害が続いているなか、製薬業界や卸売販売業界からのヒアリングを含め、幅広い観点から検討を進めていくべきとの考えを示した。

有澤賢二委員(日本薬剤師会理事)は、3年度薬価改定が現場の薬局や医薬品市場にどのような影響を与えたのかを把握したうえで、5年度薬価改定の対象範囲や適用ルールについて慎重に議論する必要があるとした。

健保連の松本真人理事は、「薬価調査の結果を待っていると、具体的な改定議論の時間がタイトになったことが前回の反省点」と指摘し、少しでも早めに議論をスタートするよう厚労省に要望した。

他方、「医薬品の安定供給のため厚労省医政局に新たに設置する有識者検討会で薬価制度のあり方などが議論される」と言及したうえで、「そこでの薬価制度の議論そのものを否定するつもりはないが、最終的に中医協が判断するということは大前提」と強調。

有識者検討会の動向や検討内容を中医協の議論に反映できるよう、速やかな報告などの対応を求めた。

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