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健保ニュース 2022年5月合併号

拠出金負担の反転急増の懸念を追記
皆保険議連 財務、デジタル両大臣へ「要望」
骨太、概算要求に主張反映へ

自民党の国民皆保険を守る国会議員連盟は4月13日に開いた第5回総会で、近く政府が決定する「骨太の方針2022」および令和5年度予算概算要求に、同議連の意見を反映するよう求めた「要望」をまとめ、4月26日に鈴木俊一財務大臣、同27日に牧島かれんデジタル大臣に提出した。

議連幹事長・会長代行の丸川珠代参院議員、事務局長の村井英樹衆院議員らが両大臣に「要望」を手交し、趣旨を説明。健保連の佐野雅宏副会長、河本滋史常務理事が同席した。

「要望」の柱は①国民の安全・安心のための質の高い効率的な医療の実現②全世代で支え合う医療保険制度の構築③健康寿命の延伸に向けた保健事業の更なる推進④健康保険組合の安定化に向けた財政支援─の4本。

健保組合・健保連の意見聴取(第4回総会・3月29日)を踏まえた内容で、第5回総会に「要望」の原案を示し議論した。その際、出席議員から「今年度の健保組合の高齢者医療拠出金負担の減少は新型コロナの影響による一時的な現象であり、拠出金負担が確実に増加する構造的問題を指摘すべき」といった提案があり、一部修正が加えられた。

「要望」の①国民の安全・安心のための質の高い効率的な医療の実現は、「今般のコロナ禍において、必要なときに必要な医療にアクセスできることの重要性が改めて認識された」としたうえで、国民が信頼できる「かかりつけ医」や地域医療構想の推進の重要性を指摘。

合わせて、マイナンバーカードの保険証利用、オンライン資格確認のほか、電子処方箋、カルテの標準化・電子化など最近の議論を踏まえ、「医療のデジタル化を一層進めていくため政府が責任を持って情報プラットフォームを整備・運用すること」を求めた。

②全世代で支え合う医療保険制度の構築は、「国民皆保険制度の持続性を高めるには、医療費そのものの増加を抑制する必要がある」とし、高齢者医療拠出金の一時的減少はあるものの、現役世代の減少と後期高齢者の増加の構造的問題は変わらず、拠出金負担は今後急増すると警鐘。

「過度に現役世代に依存する制度から、全世代で負担を分かち合い、支え合う制度への転換を図ること」と主張した。

また、③健康寿命の延伸に向けた保健事業の更なる推進は、健保組合が今後も保険者機能を発揮できるよう環境整備を行うことを要望。

④健康保険組合の安定化に向けた財政支援は、拠出金負担や新型コロナの影響によって財政がひっ迫している健保組合に対する「必要な財政支援の継続」を要請した。

要望は大切な事項と受けとめ
鈴木財務相

4月26日の鈴木財務大臣への「要望」申し入れは、同議連の丸川幹事長・会長代行、村井事務局長、馬場成志参院議員が参加。大岡敏孝衆院議員は遅れて参加した。

この席で丸川幹事長は、「かかりつけ医」の普及・推進に理解を求めた。
 同席した健保連の佐野副会長は拠出金負担の一時的減少はあったが、医療費の着実な増加に危機感を表した。

鈴木財務大臣は、同議連の「要望」の内容について、「大切なことだ」と受けとめ、厚生労働省などの関係各所と相談し対応したいと応じた。

国民の立場でデジ化を推進
牧島デジタル相

牧島かれんデジタル大臣への要望申し入れは、東京ガーデンテラス紀尾井町のデジタル庁内会見室に丸川幹事長・会長代行、村井事務局長、渡辺孝一衆院議員が参加、健保連の佐野副会長、河本常務理事が同行した。

この席で丸川幹事長・会長代行は、健保組合の拠出金負担が増え続けているなか、医療分野のIT化、デジタル化による負担も担っていると指摘。ガバメントクラウド(GC)を利活用し、組合の負担軽減に取り組んでほしいと述べた。

村井事務局長は、「医療分野のデジタル化の可能性は大きい。予算もしっかり取って、使いやすい仕組みにしてほしい」と発言。渡辺衆院議員は、全般的なデジタル化の推進の必要性を訴え、インフラ整備に注力するよう要望した。

また、佐野副会長は、「医療分野のデジタル化の推進は、質の向上、国民のメリットを考え賛成している」としたうえで、マイナンバーカードの保険証利用を例に、「基盤整備に時間がかかっているなか、健保組合が費用を負担している」状況を紹介。デジタル化の推進に向けて、国民に対する周知を促進し普及に取り組んでほしいと述べた。

これらに対し牧島大臣は、「国民や患者の立場に立つ取り組みが何より重要と考える」と述べ、同議連の要望に対し「貴重な報告と受けとめる」と応答した。

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