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健保ニュース 2022年2月上旬号

4年度後期高齢者医療関係予算案
特別負担調整含め総額5.6兆円
団塊世代75歳入り 医療費は2.4%増と算出

令和4年度政府予算案の昨年末の閣議決定と合わせて、厚生労働省所管の後期高齢者医療制度関係の助成費も決まった。

後期高齢者医療制度関係の4年度予算案は、団塊の世代が後期高齢者に入り始めることで被保険者数が例年よりも大きく増加するなどの医療費増加要因や、10月からの窓口負担引き上げの制度改正効果などの影響を織り込んだうえで、給付費等負担金など義務的経費と補助金を合わせて、総額5兆5535億円(前年度比2.5%、1345億円増)を計上した。

義務的経費のうち、後期高齢者医療給付費に24%の定率国庫負担を投入する医療給付費負担は4兆234億円(同972億円増)、8%を占める財政調整交付金は1兆3411億円(同324億円増)を計上した。

高額医療費の発生などに国が財政支援する高額医療費等負担金は、▽レセプト1件当たり80万円超の医療費を対象に、超過額の4分の1を国が負担する高額医療費負担分=931億円▽財政安定化基金負担分=67億円─の合計998億円(同50億円増)を計上した。

このほか、後期高齢者医療制度関係経費には、拠出金負担の重い上位保険者の対象拡大分に国費を投入して負担を軽減する「高齢者医療特別負担調整交付金」100億円、主に健保組合を対象に過大な前期高齢者納付金の負担を緩和する「高齢者医療運営円滑化等補助金」(高齢者医療支援金等負担金助成事業)720億円の合計820億円規模の拠出金軽減措置が含まれている。

予算の前提となる4年度の後期高齢者医療制度の医療費総額は、被保険者数の急増を受けて前年度比2.4%、4273億円増の18兆4168億円と見込む。患者負担分を除く給付費は、同2.4%、3983億円増の16兆9663億円。

精算後支援金は▲3.2%

現役世代が給付費の約4割を負担する後期高齢者支援金は、概算額が6兆9311億円(同1.6%、1059億円増)と設定した。

医療費増と合わせて後期支援金も増加するが、ここから2年度の概算支援金に対する過払い分の精算額5627億円を差し引くと、前年度に比べ3.2%、1989億円減の6兆3684億円となる。

2年度の医療費は、新型コロナウイルス感染症禍の受診控えにより大幅に減少。コロナ前に見込んだ当初の医療費を大きく下回り、その分、概算での後期支援金の払い過ぎが2年後に戻ることで、精算後の支援金がマイナスとなる。

4年度後期支援金の1人当たり負担額(概算額)は、6万5761円(同3.3%、2087円増)と見込んだ。

後期高齢者医療制度(65~74歳の障害認定者含む)の被保険者数は、1888万人で同3.9%、71万人増と、団塊世代の後期高齢者入りに伴い前年度の0.2%、4万人増から大きな増加幅を見込む。

1人当たり医療費は97万5466円(同1.5%、1万4653円減)。診療報酬改定などの減要因を織り込んでマイナスと見込んだ。

また、4年度は2年を1期とする財政運営期間の初年度に当たる。これに合わせて、2年ごとに改定する後期高齢者負担率(給付費に占める保険料負担割合)は、後期高齢者と現役世代の人口比の変化に応じて見直すこととなっており、4年度から11.72%(2、3年度11.41%)に上昇することを前提として、4年度予算案における支援金総額などを算出した。

10月施行の窓口2割負担の導入による4年度の財政影響(5か月分)は、給付費ベースで▲790億円、後期支援金が▲300億円、後期高齢者の保険料が▲80億円、公費▲440億円(国保の後期支援金にかかる公費含む)と試算されている。

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