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健保ニュース 2021年新年号

2年度第3次補正予算案を閣議決定
健保組合の保険者機能強化支援に51億円
事業の補助割合や対象を拡充

政府は12月15日の臨時閣議で、新型コロナウイルス感染症に伴う第3弾の追加的な経済対策を盛り込んだ令和2年度第3次補正予算案を決定した。

一般歳出総額は約19兆円で、厚生労働省の所管分に4兆7330億円を追加し、①新型コロナウイルス感染症の拡大防止策(2兆5484億円)②ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現(2兆1310億円)③防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安心の確保(535億円)─を盛り込んだ。

①は、地域の医療提供体制を維持・確保するための医療機関などへの支援として、引き続き、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金による支援」に1兆1763億円を計上する。

また、「小児科などへの支援や新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援にかかる診療報酬上の特例的な対応」に71億円を充てる。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で財政状況がいっそう厳しくなった健保組合に対する追加的な財政支援を行うため、「健康保険組合等保険者機能の強化」(65億円)を計上した。

元年度からスタートした「保険者機能強化支援事業」を「50.6億円」に増額するほか、ICTを活用した特定保健指導への切り替えなどを実施した保険者に対する費用として「14.4億円」を補助する。

「保険者機能強化支援事業」は、▽平成30年2月1日現在の保険料率(調整保険料率含む)が95‰以上▽29年度の財源率が90‰超▽29年度末の保有資産が必要準備金の200%相当額未満▽27~29年度の過去3か年で赤字決算─のすべてを満たす健保組合を対象とし、保険者機能の発揮を促す観点から、保健事業などに要する経費の一部を助成する事業。

対象健保組合は財政運営安定化に向け策定した3か年の事業計画にもとづき、一般保険料率の引き上げや保有資産の増加、経常収支黒字のいずれかを達成することが求められる。元年度は35組合が助成を受け、2年度予算では18.4億円を計上している。

これに対し、2年度第3次補正予算案は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、元年度から保険者機能強化支援事業の対象となっている健保組合はさらなる支援が必要との観点から、補助割合の見直しに加え、解散を選択する蓋然性が高く、保健事業の維持が困難となる健保組合も対象に財政支援を行う。

元年度に対象となった健保組合は、3年度に一般保険料率の引き上げなど事業計画の達成をめざしているが、2年度第3次補正予算と3年度当初予算を一体的に編成する、いわゆる「15か月予算」の観点から、前倒しして対応する。

同事業に要する経費の増加分への補助割合は、全組合平均に対する1人当たり保健事業費の程度に応じて「2分の1」、「3分の1」となっているが、厚労省は、それぞれ「10分の10」、「2分の1」へと拡充するとともに、単年度のみ赤字決算となるなど、現在対象となっていない健保組合も財政支援の対象に追加することとしている。

合わせて、特定保健指導対象者等の受診控えに対する受診勧奨やICTを活用した特定保健指導への切り替えの実施費用を健保組合、協会けんぽ、市町村国保、国保組合に補助するため、14.4億円を充てる。

このほか、不妊治療の経済的負担を軽減するため、370億円を計上し、高額な不妊治療に要する費用への助成について、所得制限の撤廃や助成額の拡充などを行う。

また、デジタル改革の実現に向け、「新たな日常にも対応する処方箋等の電子化に向けたシステム構築」に61億円を計上。オンライン資格確認等システムの基盤を活用し、処方・調剤業務の効率化のほか、重複投薬の防止などにも資する電子処方箋管理システムを構築する。4年度の運用開始を視野に、「15か月予算」の観点から前倒しで対応する。

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